アルゼンチンのインフレ率、12月は前年比211%の上昇に
アルゼンチンの国家統計局(INDEC)が11日発表した2023年12月の消費者物価指数は前年同月比で211.4%の上昇となった。1991年5月(232.1%)以来、32年7か月ぶりの大きな上昇率だった(12日付日本経済新聞)。
2023年11月(160.9%)から一段と加速した格好となったが、昨年12月に発足したミレイ政権が通貨を切り下げたため、輸入物価が上がったことが影響した。
11月の大統領選挙に勝利した経済学者出身のハビエル・ミレイ氏(53)は昨年12月10日、大統領に就任。4年ぶりに左派から右派への政権交代となった。
ミレイ氏は国家非介入型経済の実現を訴え、中銀の廃止、為替レートの一本化、資本取引規制の解除、通貨選択の自由化(ドル化)など困難な課題に取り組むとしていた。外交ではフェルナンデス前政権の親中路線から、米国を重視する方向にカジを切った。
ただし、大統領就任後は現実路線に修正しつつあるようで、持論である通貨のドル化や中央銀行の廃止は影をやや潜めている。これらは「2年」程度の時間をかけて具体的な方向を固める姿勢とも伝えられた。
為替レートについてはルイス・カプート新経済相が12月12日に、公式為替レートを1ドル800ペソまで切り下げると発表した。切り下げ幅は約50%となった。これは格差が大きい公式レートと非公式レートの差を縮小するための、公式レートの切り下げとなり、一定程度の時間をかけて、レートの一本化を目指していくとされている。
消費者物価指数の上昇率は2023年2月以降、11か月連続で100%を上回っているように、物価の高騰が止まらないなか、通貨安がそれを加速させた格好となった。