【MFJ 250cc一気乗り試乗】みんな違ってみんないい、だからバイクは面白い!
先頃、MFJ(日本モーターサイクルスポーツ協会)主催による『250バイク一気乗り! メディア合同インプレッションライド2016』が開催されました。
JP250クラスと連動して、250ccを盛り上げる!
これはMFJとツインリンクもてぎの協力により実現したもので、国内外メーカーから発売されている、250ccクラスの代表的な車種を一堂に集めて、2輪メディア関係者にあらためて試乗機会を提供。業界を挙げて250ccクラスの魅力を広めていくことを目的としたイベントとして、盛大に行われました。
もうひとつの目的が、今年から新設される「JP250」クラスのプロモーションです。市販車ベースの250ccクラスは近年各メーカーから魅力的なモデルが出揃い、年々エントラントの数も増えています。
また、今年からアジア選手権でもアジアプロダクション250クラス(AP250)がスタートし、スーパーバイク世界選手権でも近い将来、同様のクラスを追加することが検討されるなど世界的な盛り上がりを見せています。こうした背景から、国内でもロードレースの底辺拡大を図るため、地方選手権の正式種目として「JP250」クラスが発足することが発表されました。
魅力を取り戻している250ccモデルと、そのバイクで世界に羽ばたくレーサーたち
最近、若者層を中心に人気の高い250ccクラスは、バイクブーム復活の救世主的存在としても期待されていて、さらにそこからモータースポーツに興味を持った若者がレースを身近に感じて自分も参加してみる、あるいはサーキットへ足を運んでくれるという好循環が作り出せれば、業界全体の底上げにもつながるというわけです。
さらに言うと、かつて日本人チャンピオンを何人も輩出したWGP125ccクラスのように、「JP250」で切磋琢磨された選手がいずれは世界に羽ばたいていくというストーリーも夢ではありません。 その意味では、日本の2輪モータースポーツ界の要であるMFJと、日本で唯一のMotoGP開催可能な国際格式サーキットである、ツインリンクもてぎがタッグを組んで初開催した今回のイベントは、非常に意義があることと思いました。
気になる「250」同士の比較
さて、当日私が試乗を担当したのは主にストリート用スポーツモデルです。「JP250」のレース専用車両もあったのですが、時間の関係もありノーマル車両にフォーカスしてインプレッション取材を行いました。計12台に試乗したのですが、それぞれに個性的なモデルでした。
終日冷たい雨が降る中、ノーマルタイヤだったので相当気を遣いましたが、逆に厳しいコンディションであるが故にマシンの特性もよく分かりました。同時に同条件で乗り比べることで、エンジンの特性やハンドリング、扱いやすさなども比較できます。
特に全開走行とフルブレーキング、フルバンクが可能なサーキットなので、マシンの素性や限界域でのポテンシャルなども明白になるし、今回は雨だったのでなおさらトラクションの良し悪しやタイヤ、サスペンションを含めたグリップ性能などもよく伝わってきたと思います。もちろん、ウェットなので無理は禁物ですが。
それぞれのバイクにそれぞれの「設計思想」と「良さ」がある
詳しいインプレッションは後日あらためてお伝えするとして、当日あらためて感じたのは、250ccクラスの扱いやすさ。パワー的にも車格的にも気負いなく乗れて、それでいて本気でスポーティな走りも楽しめます。普通二輪免許で乗れるため、新規参入ユーザーのハードルも高くありません。
そして、モデル毎にそれぞれ魅力があることも。それは単に速さや馬力の有る無しにかかわらず、そのマシンが本来持っている個性であり、もっと言うと「設計思想」によるものと言っていいでしょう。
それはスペックデータに表れない部分であり、ライダーには「馴染みやすさ」や「安心感」、ときとして「怖い」といったフィーリングとして伝わってきます。こうした感覚はライダーとしてのレベルや経験に関係なく、人間なら誰でもが感じ取れる性質のものかと。
往々にして、事前知識のないビギナーライダーが発した”ひと言”が案外当たっていたりするもので、私もマシンを評価する際はけっこうそれを重視しています。何故なら、バイクに乗る99%は普通の人だからです。
ともあれ、そういう感覚的な乗り物なのでバイクは面白いし、いろいろなモデルが存在する意味もあるのだと思います。皆違っているからこそ面白い。もしかしたら、人との関係も同じかもしれませんね。世界的にも急速に人気が高まりつつある250ccクラス、今最もホットな注目のカテゴリーと言えるでしょう。
※原文より著者自身が加筆修正しています。