女性会社員のこづかい、昼食事情をさぐる(2019年版)
男性以上に女性会社員のお財布の中身や昼食の実情は、自分自身の周辺以外のこととなると把握しにくい。全体像としてはどのようなものなのか、新生銀行が長期定点観測をしている調査「サラリーマンのお小遣い調査」(※)の最新版となる2019年版の結果から確認する。
まずは一か月あたりのこづかい平均額。平均額は3万3269円。男性平均額と比べて3478円低い値となっている。
同一の年齢階層ならば女性就業者の方が平均賃金が低い実態は知られている。各種統計・調査結果でもそれを裏付ける結果が出ている。例えば次のグラフは厚生労働省の賃金構造基本統計調査の結果を基にしたもの。
賃金に応じたこづかいを設定しているのか、あるいは自分のこづかいをセーブして世帯に納めている・貯蓄に回す傾向が強いのだろう。
女性はきれいな形で若年層ほど高く、年が上になるに連れて低い値が出ているが、これは若年層と中年層以降における正社員比率に差異があり、若年層ほど正社員率は高く、収入も大きいのが影響していると考えられる。
続いて昼食時の様式傾向。回答調査対象母集団において、就業時の昼食ではどのようなスタイルをとっているか。弁当持参時を除く、昼食代の平均額も確認する。
女性においても男性同様、持参弁当率がもっとも高い。購入弁当の需要が高いのはスーパーやコンビニの多様化に伴い、中食文化が浸透している気配を覚えさせる。一方で順位は女性では社員食堂よりも外食の方が高い値を示している。女性が勤める職場では社員食堂の整備が進んでいないのか、あるいは雰囲気などから敬遠してしまうのかもしれない。
女性の持参弁当率は男性と比べて極めて高く、半数を超えた53.5%。全女性会社員の全昼食内容をカウントした場合、その5割強が持参弁当になる次第(男性同様、これは「女性社員の5割強が、毎日お弁当を持参している」ことを意味しない。全昼食回数の5割強が持参弁当である)。
独身の場合、必然的に持参弁当は自らが作ることになる(親などと同居している場合は、その人に作ってもらえる可能性もあるが)。その際、お弁当として耐えうるものを作れるか否かを考えれば、男性よりも女性の方が、持参弁当率が高くなるのも納得できる。また男性より女性の気遣いの程度が強いことが容易に想像できる健康管理の観点(特にダイエット方面)でも、購入弁当や外食よりも、持参弁当の方が都合はよい。女性の持参弁当率がここまで高いのも理解はできる。
やや意外なのは、女性の「購入弁当」の値がさほど男性と変わり無いこと。昨今のコンビニなどで展開されている、低カロリー志向、あるいは女性にターゲットを絞った食品群が、ある程度受け入れられている結果の可能性はある。女性の年齢階層別内訳を報告書から確認すると、購入弁当の階層別差異はほとんど無く(全年齢階層で20%強)、年齢を問わずに支持を集めていることになる。
金額面では年齢階層によって差があるものの、全年齢階層で男性より女性の方が高い。とはいえ、その額面は大したものではない。統計上のぶれの範囲と見てよいだろう。男女ともに昼食代に大きな変わりは無いと解釈した方がよさそうだ。
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※サラリーマンのお小遣い調査
直近年分となる2019年分は2019年4月5日から8日にインターネット経由で行われたもので、有効回答数は2717人。男女会社員(正社員・契約社員・派遣社員)に加え、男女パート・アルバイト就業者も含む。公開資料では多くを占める会社員は男性1252人・女性841人。年齢階層別構成比は20代から50代まで10歳区切りでほぼ均等割り当て(実社員数をもとにしたウェイトバックはかけられていないので、全体値では社会の実情と比べて偏りを示している場合がある)。未婚・既婚比は男性が40.3対59.7、女性は60.3対39.7。今調査は1979年からほぼ定点観測的に行われているが、毎年同じ人物を調査しているわけでは無いことに注意。
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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。
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