デジタル化でどんどん溜まる人間系データをどう活かすのかーー政府・自治体の「データ資源戦略」が必要
デジタル庁構想を機に、遅れていた政府、自治体の電子政府化がようやく加速し始めた。政治主導は常に「わかりやすさ」「国民受け」を意識する。そこで電子申請など目先の利便性が強調されがちだ。しかしデジタル化のメリットは事務処理の迅速化だけではない。デジタル処理の後には日々、データが蓄積されていく。政府、自治体はこの蓄積データ(私はこれを「足跡」と呼んでいる)を戦略資源として活用することが重要だ。
「20世紀の石油に代わり21世紀はデータが戦略資源になる」といわれる。しかし政府は今のところ「個人データの保護」の議論で忙しい。あるいはせいぜいがAPIによる官民のデータ連携が意識されるに過ぎない。しかし政府(自治体)は個人の出生、教育、納税、居住、年金、健康などに密着し、いやおうなしに全国民(住民)の人生データを蓄めこんでいく。これら人間系データの蓄積、利用、保管(秘密保持を含む)の戦略は国家戦略課題の一つである。
政府は水資源戦略や宇宙資源戦略を立てている。それと同様にデータ資源戦略を立てるべきだろう。ポイントは中央政府と自治体の連携である。生データはほとんどが自治体にある。それを体系的に整理し、蓄積していくのは中央政府の仕事だろう。デジタル庁は当面、政府業務のデジタル化で忙しいだろう。しかし早くこの問題に取り組んでほしいものだ。
●戦略資源となるデータは何か?
この記事は有料です。
改革プロの発想&仕事術(企業戦略、社会課題、まちづくり)のバックナンバーをお申し込みください。
改革プロの発想&仕事術(企業戦略、社会課題、まちづくり)のバックナンバー 2021年5月
税込214円(記事1本)
2021年5月号の有料記事一覧
※すでに購入済みの方はログインしてください。