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「梨泰院事故」は「セウォル号沈没」に次ぐ「大惨事」! 韓国の事故はどれも「大型」で「人災」!

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
事故現場を視察する尹錫悦大統領(大統領室提供)

 日曜の早朝、嫌なニュースで目が覚めた。

 昨夜(午後10時頃)ソウルの繁華街、梨泰院でのハロウィーンイベントに多数の人が押し寄せたことで転倒者が続出し、30日午前11時現在、外国人19人を含む151人が死亡し、82人が負傷するという想像を絶する事故が起きた。その多くは10代~20代の若者である。

 事故の原因は現場付近の店に有名人が入店しているとの情報を聞きつけ、下り坂の幅4メートルほどの路地に身動きが取れないほど人の波が押し寄せたからと報道されているが、速報を流した韓国のテレビ「YTN」は「事故は予見されていた」と報じていた。

 ハロウィーン関連のイベントがあれば、「コロナ規制」(ソーシャルディスタンス)が解除されたことから多くの人が殺到することが予想されていたのに▲交通整理や通行規制が不十分であったこと▲事故があった現場は傾斜があり、幅道が狭い上に道路沿いで営業している店がテーブルや椅子などを店の前に出したままで撤去していなかったことから「大惨事を招いた」と報道していた。

 また、「MBC」テレビも「警察は週末の金曜日から日曜日にかけて10万人近い人が梨泰院に集まるものと予想し、警察官を200人以上配置すると言っていたが、この数では秩序を維持するには不足していた」と伝え、梨泰院を管轄している龍山区もまた「総合状況室を運営し、施設の安全点検を強化すると言っていたが、ほとんど機能しなかった」と伝えていた。

 一部では尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権になって鐘路区にあった大統領府(青瓦台)を国防省のある龍山区に移したことで所管の龍山警察署が大統領室近辺警護で多忙となり、人手不足に陥っていたことも災いしたとの指摘もある。

 それにしても、韓国で起きる事故はどういう訳か「大型」のケースが多い。それもほとんど人災である。

 最近のケースでは朴槿恵(パク・クネ)政権下の2014年4月に発生した旅客船「セウォル号沈没事故」が記憶に新しい。

 修学旅行生325人を含め476人の乗客を乗せ、仁川港から済州島に向かっていた「セウォル号」が午前9時頃に転覆。1時間後の10時過ぎには完全に沈没し、死者299人、行方不明者5人を出した。

 事故発生直後から沈没するまでの過程がテレビで生中継され、韓国中を震撼させたこの悲惨な事故はこの年の朝鮮半島10大ニュースのトップに挙げられていた。

 その他の「大型事故」としては古くは金泳三(キム・ヨンサム)政権下の1993年10月に起きた「西海フェリー沈没事故」が思い出される。

 全羅北道の蝟島沖で午前9時40分頃に沈没し、住民や釣り客ら乗船客362人中、292人が亡くなり、また負傷した。

 原因は過積載と整備不良だが、不運も重なり、4台あった救命ボートのうち3台が故障し、1台しか作動しなかった。

 翌年の1994年10月のソウルの漢江に架かる「聖水大橋崩落事故」も衝撃的だった。

 通勤・通学時間帯の午前7時40分頃に延長1160メートル、幅19.4メートルの4車線大橋の中央部分が突如48メートルにわたり崩落し、通行中の乗用車やバスなどが巻き込まれ、死者32人、負傷者17人を出した。死亡者の中には女子中高生らバスの乗客が17人含まれていた。原因は施工段階での手抜き工事だった。

 最も衝撃的で、痛ましかったのは1995年6月にソウルで起きた地下4階、地上5階建の「三豊百貨店崩壊事故」である。

 営業中の午後6時頃に5階の柱2本が突如折れ、建物がドミノ倒しのように崩壊し、客と店員合わせて約1500人が下敷きとなり、死者502人、負傷者937人、行方不明者6人を出す悲惨な事故となった。

 建物崩落事故としては世界最多の被害者を出す大惨事として記録されている。これも手抜き工事による強度不足が原因だった。

 尹大統領は今日から事故の収拾が一段落するまでを国家哀悼期間に定め、すべての政府機関と官公署に対して弔旗の掲揚を指示した。

 また、「梨泰院事故」の影響を受け、釜山市は今夜7時から予定していたアジア最大級の韓流イベント「釜山ワンアジアフェスティバル」のK-POPコンサートの中止を発表せざるを得なかった。

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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