「人助けランキング」アジア最下位の日本 “見知らぬ人を助けたか”では例年世界最下位 そのワケとは?
チャリティー機関「チャリティーズ・エイド・ファンデーション(以下、CAF)」が、11月9日、世界の国々の人助け度をランク付けした報告書「World Giving Index(世界人助け指数)2023」を発表した。
人助け指数を算出するにあたってCAFがベースにしているのは、「この1ヶ月の間に、見知らぬ人、あるいは、助けを必要としている見知らぬ人を助けたか」、「この1ヶ月の間に寄付をしたか」、「この1ヶ月の間にボランティアをしたか」という3項目について、市場調査会社ギャラップが行ったインタビュー調査だが、今回発表された報告書は、2022年に、世界142カ国の147,186人に対して行った調査に基づいている。
この報告書によると、日本の人助けランキングは調査された142カ国中139位とG7先進国の中ではもちろん、調査されたアジアの国々の中でも最下位である。
これまでの調査結果を振り返ると、2009年から2018年までの10年間の総合ランキングでは日本は126カ国中107位、2020年の調査では114カ国中最下位、2021年の調査では119カ国中118位と、日本は人助けランキングでは変わらず低迷を続けている。
ちなみに、トップは6年連続1位を果たしたインドネシア、2位はロシアによる軍事侵攻で人助け指数を13ポイントも上昇させたウクライナ、3位はケニア、4位はリベリア。日本以外のG7の国々では、アメリカ5位、カナダ8位、イギリス17位、ドイツ45位、イタリア87位、フランス88位となっている。
CAFは「トップ10の国々中、世界の経済大国はインドネシア、アメリカ、カナダの3カ国のみである一方、最貧国で後発開発途上国の1つでもあるリベリアが4位と高順位である」と説明しているが、世界でも富裕な国々が必ずしも人助けをしているとは限らないわけである。
日本が低スコアのワケ
日本のスコアを見ると、前述の3つの調査項目中、「この1ヶ月の間に、見知らぬ人、あるいは、助けを必要としている見知らぬ人を助けたか」という項目では、例年のように、世界最下位の状態が続いている。
もっとも、2022年に発表されたCAFの報告書の中では、日本の人助け指数が低いことについて、以下のような理由が記されていた。
「日本のスコアが非常に低い理由は、本質的に文化的なものである可能性が高い。アメリカでは慈善行為として認識されていることが、日本では責任として理解されている可能性が高い」
つまり、日本の人々は、人助けを、慈善行為というよりも責任から行う当然の行為として捉えているため、人助けをしたというふうには認識しておらず、そのことが低スコアとなって表れているということだろう。
移民や宗教、幸福度と人助け指数の関係
今回の調査では、移民の方が移民ではない人々よりも人助け指数が高いという結果も示され、特に、その差は中東と北アフリカで顕著だった。
また、日々の生活において宗教が重要だと考えている人の方が重要ではないと考えている人よりも人助け指数が高いという結果も示され、それは、サハラ砂漠以南の地域ではその差が顕著であった一方、ヨーロッパでは差が見られなかった。
人助け度と幸福度との関係も示された。スウェーデン、デンマーク、スイスなど「この1ヶ月の間に寄付をしたか」の項目でトップ10の国々のうち7カ国が、国連の「世界幸福度調査」では幸福度が平均以上である一方、ギリシャを除くボトム10の国々は幸福度が平均以下であることから、CAFは「人々の寛容度は生活満足度と関係がある」と分析している。
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