PTSD (心的外傷後ストレス症)には、持続エクスポージャー療法(PE)が効果的です。
こんにちは。
精神医学と性格心理学に詳しい
心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。
PTSD(心的外傷後ストレス症)に対して、もっとも効果が高いと言われているのが、持続エクスポージャー療法(PE)です。
国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所 災害時こころの情報支援センターも、「PTSD に対して薬物を含む治療法のなかでもっとも効果が実証されているのは、持続エクスポージャー療法(PE)」と言っています。
PTSDとは、Post Traumatic Stress Disorder の略です。
PEとは、Prolonged. Exposure Therapy の略です。
持続エクスポージャー療法(PE療法)は、認知行動療法の一種で、トラウマ被害者やPTSD(心的外傷後ストレス症)患者を対象に、トラウマを乗り越えることを目的とした治療法です。
PE療法では、安全な環境でトラウマへの記憶を思い出させ、トラウマに慣れることで、トラウマの恐怖が現実的には恐れるほどのものではないことを学習していきます。
PTSD持続エクスポージャー療法研修は、国立精神・神経医療研究センター 等で開催されています。ただこの研修は、誰もが受けられるものではありません。そう、ある一定の基準と言うか条件を満たさないと、受けられないのです。それは何故かと言いますと、PTSD持続エクスポージャー療法は、よく切れるナイフのようなものなので、使い方を誤ると互いにケガをする恐れがあるからです。私(竹内成彦)が受講したときも、ほとんどの人が、プロの心理士か心理師、精神科医でした。
持続エクスポージャー療法(PE療法)は、クライアントに心的負担がかかります。よって、治療の場においては、安全な環境というのが非常に重要です。ですから、援助者である精神科医・セラピスト・カウンセラーには、受容・共感のマインドとスキルが必須となってきます。援助者が支持的精神療法(指示的ではありません)を使えないようでは、持続エクスポージャー療法(PE療法)は、用いないほうが賢明と言っていいでしょう。
世の中には、喫茶店やホテルのロビーラウンジで、カウンセリングやセラピーをしているカウンセラーやセラピストが多々いらっしゃいますが、持続エクスポージャー療法(PE療法)においては、個室空間が用意できないと、実施することが出来ないと覚えておきましょう。
持続エクスポージャー療法(PE療法)の成功を阻害する要因としては、下記が挙げられます。
1.自殺行動や他殺行動の差し迫った脅威。
2.深刻な自傷行為。
3.症状活動期の精神病。
4.暴行被害のハイリスク(DV加害者と一緒に暮らしているなど)。
5.広場恐怖を伴う深刻なパニック障害や、治療参加を不能にする深刻な抑うつなど、他に主要な障害が現在みられる。
上記の主要な問題の治療および安定化は、持続エクスポージャー療法(PE療法)開始前に行わなければなりません。
大切なことなので、もう1度言います。
持続エクスポージャー療法(PE療法)が成功に終わるか否かは、「セラピストがクライアントに対し、受容的な態度で接することが出来るか?」「セラピストが、クライアントの話をしっかり傾聴できるか?」「セラピストが、クライアントに対し、共感的理解を伝えるスキルがあるかどうか?」で、ほぼ決まります。
セラピストが、持続エクスポージャー療法(PE療法)の知識を丸暗記できているからと言って、クライアントを援助できるとは限りません。
この記事をお読みの精神科医・セラピスト・カウンセラーの方は、くれぐれも、「クライアントは傷ついているんだ。そして今も、傷つきやすい状態なんだ」ということを忘れないようにしてください。
この記事をお読みのPTSDで苦しんでらっしゃる方は、どうぞ信頼のおける、腕の確かな、精神科医・セラピスト・カウンセラーの元で、PE療法を受けて下さい。
私は、PTSDの方が、援助者と、しっかりとラポールを形成されて、順調に回復に向かわれることを、心から祈っています。
※ ラポールとは、心理学の用語で、主にセラピストとクライエントの相互の信頼関係のことを言います。
今日も最後までお読みくださって、どうもありがとうございます。
心から感謝申し上げます。
この記事を書いた人は、心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。