12月の金融政策決定会合の議事要旨より
26日に12月18、19日に開催された日銀の金融政策決定会合の議事要旨が公表された。「金融政策運営に関する委員会の検討の概要」では下記の意見があった。
「多くの委員は、マイナス金利やイールドカーブ・コントロールの枠組みの解除を検討するためには、賃金と物価の好循環を確認し、物価安定の目標の持続的・安定的な実現が見通せるようになる必要があると改めて指摘した。」
注目すべきは「マイナス金利やイールドカーブ・コントロールの枠組みの解除を検討するためには」との部分で、マイナス金利やイールドカーブ・コントロールの枠組みの解除を前提としたコメントとなっていた。
「見極めていく時期について、委員は、今後の各会合で、その時々に得られる様々なデータや情報に基づいて、判断していくことになるとの認識で一致した。」
「何人かの委員は、現時点では、急いで利上げをしないとビハインド・ザ・カーブに陥ってしまうという状況にはないと考えられるとしたうえで、来春の労使交渉の動向をみてから判断しても遅くはないと述べた。」
春闘は今後、3月中旬の集中回答日に向けて議論が本格化する。次回の金融政策決定会合は3月18、19日に開催される。
ちなみに4月には3月調査の日銀短観が発表されるが、昨年の3月調査の回答期間は2月27日~3月31日となっていた。回答基準日の3月13日までに企業の7割弱が答えたとされていた。
「何人かの委員は、出口を見据え、イールドカーブ・コントロールやマイナス金利政策について、その副作用や市場への影響も踏まえつつ、その在り方を検討していく必要があると指摘した。」
この何人かの委員が、本当に何人なのかも知りたいところである。あくまで推測になってしまうが、そのなかに植田総裁、氷見野副総裁、田村審議委員は含まれていると考えられる。
「このうちの一人の委員は、物価安定の目標の持続的・安定的な実現の確度は更に高まってきており、金融正常化のタイミングは近づいていると指摘したうえで、慎重に確認を重ねた結果、物価高が消費の基調を壊し、目標の実現を損なうリスクを避けるためにも、タイミングを逃さず政策の修正を図るべきであると述べた。」
この発言をしたのは期待を込めて、植田総裁ではないかと推測する。もしかすると12月の決定会合で、政策修正を示唆しようとした可能性もあったのではなかろうか。しかし、それにブレーキを掛けざるを得ないことが起きた可能性もあった。
この委員は次のようにも述べていた。
「この委員は、物価が過度に上振れて、急激な金融引き締めが必要となるリスクは小さいが、そのリスクが顕在化した場合のコストは甚大であることも認識しておく必要があると付け加えた。」