恵方巻 スーパー各社 おいしさの舞台裏
関西の巻き寿司から、恵方巻へ全国展開
2月と言えば、恵方巻(バレンタインもありますが・・・)
いつの頃か、全国、津々浦々、巻き寿司を恵方巻として認知されるように。私の記憶では「恵方巻」という言葉は、その当時、使われず、あくまで節分として、巻き寿司を食べ、お豆とイワシの焼きものがセットとなっていた。そのため、昔の思い出とは違ったものに変わってしまった。
とはいえ、各スーパーの取り組み、売り手側の舞台裏を見ると、「今年の反省点を来年に向けて」と日々、奮闘し、その熱意、懸命さが伝わってくる。そこで巻き寿司の開発、スーパーの舞台裏を紹介しようと思いたった。
夏から恵方巻の開発開始
恵方巻の開発は多くの場合、毎年、各社違いはあれ、9月から12月まで、早いところでは夏の真っ盛りに、試食を幾度となく繰り返される。同時に具材についても、国内工場のメーカーと一緒に取り組みが始まる。
具材の改善
「今年、売れても、来季、同じ商品を出すと、お客様は離れます!」
改善はほんの微調整であって、ややもするとわからないかもしれない。しかしこれを怠ると売れなくなるのだ。
そこで最近の各社の取り組みの一部を紹介すると・・・
玉子は原卵を見直すことで、色目を綺麗にする。
玉子焼きは、ご覧のとおり(写真↑)、具材の中でも面積を占め、大きい。つまり具材での味の主役となり、少しでも玉子焼きが甘すぎると、他の具材の甘さが合わさり、口に後味として残ってしまう。そこで最近は、優しい出し感の効いた味付けが多く、口に含んだ瞬間、玉子のまろみを維持するため、改良を重ねている。
きゅうりなども菌数を考え、漬物が多く見受けられたが、よりしゃきしゃき感を残すべく、衛生も考慮しつつ漬物をやめたところもある。
かんぴょう・椎茸は冷凍から解凍する際、水分が出るため、チルド(常温)に変更。
そして米、つまりしゃり炊きは、朝、店舗がオープンすることを考えると、前日となり、それに合わせ、硬さの調整、浸漬時間を計算している。勿論、気温によって米の炊きあがりは変わる。今年などは、東京が急に寒くなった(関西もです)こともあり、今、再度、調整に入っているようだ。
本来、寿司に使われる米は、寿司酢を含ませるため、水分が飛んでいる古米が良いと一般的に知られている。スーパーではまず通常、美味しいと言われるコシヒカリは柔らかいことからやめ、各地の米の水分含有量を測定し、違う産地に変更したところもある。
一口でおいしさの配置、バランス
次に口に含んだ際、味がどのように感じるか、これも試食を重ねる。
具材の配置によって、味の感じ方が変わってしまうからだ。
例えば、生鮭・鮪の具材だと、生鮭、鮪、を隣同志に並べて巻くと、味が濃厚になり、おいしさにつながらない。そこで食感のある具材を間に置くなど配置に工夫がなされている。
そして米と中具、つまり中芯と酢飯の割合も違うと、おいしさの感じ方が変わってくる。
具材が一つ増えれば、高級感が出せる。しかしその一方で、米とのバランスが崩れてしまうこともあり、再度、検討される。
口の直径と巻き寿司の直径
ボリュームがあれば、売れるというのが一般的である。その一方で、ボリュームありすぎも程度問題。
つまり食べやすいかどうかがポイントとなる。
因みに2014年、食品商業の取材に関西地域で参加し、各社の巻き寿司を試食をした。
この時、関西、関東のスーパー40社のベーシック巻き(田舎巻き)を調査し、各社の寿司の直径も測定。そこで今回、寿司の幅の平均を算出すると5・3センチ。日本人の平均の口の直径が横5センチ縦2センチ。食べやすい大きさとなっている。
2014年 2015年(食品商業)の40社の重量を測定されていた。
これをベーシック平均G数で計算したところ1巻329・4g
2015年では、ベーシック巻き 平均330gとなった。
その差、0・6gとなっている。
とはいえ、あくまで平均なので・・・そこで10gごとで本数をグラフにて作成すると
平均330g前後に集中している。
ということで、だらだらとお話をしたが、とにもかくにも一つ一つ改善していくと、半年は軽くかかってしまうのである。
そして今まさに、恵方巻プロジェクトが大詰めを迎えているのだ。
商売で広まった恵方巻と言われる。しかしその一方で舞台裏を見ると、今日もスーパーのバックルームでは飽くなき追求がなされているのだ。