世界全体の人口は2055年に100億人を突破…国連予想による米英露の人口推移をさぐる
国連では定期的に世界人口の推移予想の検証結果を更新している。その最新データ「World Population Prospects, the 2017 Revision(世界人口の見通し、2017年改訂版)」(国連事務局経済社会局の人口部局による、人口統計学的な推計によるデータ)から2100年までの世界全体と、米英露の人口推移を確認する。
まず最初はアメリカ合衆国。
2100年に至るまで、人口は緩やかに、そして一定率のまま上昇を継続。高齢化は2030年前後まではやや加速するが、それ以降は緩やかなスピードに落ち着いたまま進行していく。2100年時点での人口は約4.5億人。ただしアメリカ合衆国でもこの数年の間、急速な合計特殊出産率の低下(いわゆる「先進諸国病」)が確認でき、人口減少・高齢化の加速懸念が出てきた。
実際、2年前の予想版(2015年版)と比べると2100年時点の人口予想は290万人ほど減っており、同年の高齢層比率も0.8%ポイントほど増加している。最新版では昨今の情勢を反映した上での修正が行われたと考えて良い。
続いてイギリス。
イギリスも人口は漸増。ただし2060年以降はその歩みを緩やかなものとしていく。今データ内(2100年まで)では人口減少は確認できない。高齢化はじわじわと進行していき、64歳以下の総人口がほぼ変わらず、65歳以上の人口が漸増し、総人口の上昇につながる雰囲気を見せている。比率で見ると0~14歳・15~64歳の比率が減り、65歳以上が少しずつ増えていく。
次はロシア連邦。
ロシア連邦は日本同様に人口減少のプロセスを歩んでるが、2065年ぐらいにはその減少スピードもゆるやかなものとなる。日本に近しい動きといえる。また高齢者の比率は2055年の24.0%をピークとして以後はむしろ一時的だが減退する動きすら見せ、その後再び増加、最大値は2095~2100年の24.2%となる値動きは興味深い。
最後に世界全体の動向。
ロシア連邦や日本など一部先進諸国のように、人口を減らしていく国もあるが、概して新興国は人口増加の過程にあり、2060年ぐらいまでは急激なスピードで世界人口は増加していく。2065年から2070年あたりから64歳以下の人口増加が足踏み状態となるため、それ以降は高齢層の増加分だけ総人口が増える形となる(このスタイルはイギリスに似ている)。
そして2055年には世界の総人口は100億人を突破する、との推定が出ている。2年前の「2015 Revision」では2060年に100億人突破の予想値が出ていたことから、新興国の人口増加傾向がさらに加速化しているのが分かる。
今件データはあくまでも予想・推定の域を出ていない。上記アメリカ合衆国の事例にある通り、人口変動要素に変化があれば、予想年数が先に行くほど数字はぶれていく。あくまでも指針の一つ程度として見ておいた方が無難である。
見方を変えれば、特段変化が無ければ、これらの値が現実のものとなる可能性は高い。各国の今後を占う上で、無視できない数字といえよう。
■関連記事: