日本はどこから原油を輸入しているのか
日本の原油輸入量は年間2億1254万キロリットル
経済産業省の石油統計によれば、2012年時点での日本の原油輸入量は総量で2億1253万8026キロリットル。1日換算で大体58万キロリットルとなる。一方、国産原油産出量は年間で80万キロリットル内外でしかなく、日本は消費する原油のほぼすべてを輸入でまかなっている計算となる。
その原油の輸入元と、年間輸入量を棒グラフ化したのが次の図。
トップのサウジアラビアからは年間6600万キロリットルもの原油が運び込まれている。上記の日本国産原油の年間産出量の80倍以上が、1日で輸送される計算になる。次いでUAE、カタール、クウェート、イランなど中東地域諸国が並び、ロシア、インドネシアなどが続いていく。中には「こんな国からも原油を輸入しているの?」と驚くような国名も確認できよう。
原油の中東依存度は83.4%
これら輸入量を、全量に対する比率を求め、さらに中東諸国のみを前列にする形で並べ替えてまとめたのが次のグラフとなる。
赤色で着色したのが中東諸国に該当する部分だが、全体の83.4%を該当地域からの輸入でまかなっている計算になる。それ以外ではロシアが最大値を占めるが4.6%。インドネシア、ベトナムと合わせても1割強でしかない。原油が日常生活を支える重要なエネルギー源であることを考えれば、日本にとって中東地域は、まさに生命線に他ならない。
その中東地域で騒乱が起きれば、当然該当国の原油産出は滞る。またその周辺諸国が巻き込まれるリスクも上昇するため、保安費用は大きく跳ね上がる。安全対策のため、採掘や運送作業そのものが休止されるかもしれない。
原油を輸送するタンカーの保険料も上昇し、さらに運送スケジュールも遅延しかねない。これらの要因は当然、原油の価格高騰を招き、原油をベースに生成される各種工業製品の原価、さらにはガソリンをはじめとした燃料費にも反映され(電気料金も然り)、商品価格を押し上げ、商品競争力の低下を導くことになる。
日本から遠く離れた地域で、恐らく多くの人が一生涯足を運ぶことはないであろう中東地域。その情勢は、原油という一つの視点で眺めても、実は日常生活に大きなつながりを持っている。かつて「石油危機」「オイルショック」を体験したことがある人なら、ある程度理解は出来ているはずだが、昨今ではその言葉そのものが死語となりつつあり、中東情勢や原油周りの問題に関して、感覚的にピンとこない人も増えている。
日々の生活に欠かせない原油がどこからやってくるのか、今一度確認して欲しいものである。
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