約7割の保護者が子供のインターネットやSNSの利用に不安を感じている(2023年公開版)
自分が子供の頃には存在しなかった道具やサービスを自分の子供が使いこなし夢中になるのを見て、不安を覚える保護者は少なくない。実際にはどれほどの保護者が不安を覚えているのだろうか。ソニー生命保険が2023年3月に発表した調査結果「子供の教育資金に関する調査2023」(※)から、その実情を確認する。
次に示すのは調査対象母集団に対し、子供の将来に関する項目を提示して、どの程度不安を感じるかを尋ねた結果。具体的には「インターネットやSNSの利用」を尋ねている。つまり子供が実際にインターネットやSNSを利用しているのを見て、将来何か悪影響をおよぼさないか、あるいはすでに何らかの影響が生じており、それがさらに悪化しないか、その不安。まだ自分の子供には手を触れさせていなくても、じきに利用することになるだろうし、そうなれば「何か悪い影響が生じるのでは」との不安を覚える場合もあるに違いない。
調査対象母集団全体では26.2%が非常に不安を感じ、44.4%がやや不安を感じている。合わせて70.6%の保護者が、子供がインターネットやSNSを利用することで、何か悪影響が生じるのではないかとの不安を感じている。具体的な不安内容までは問われていないが、利用のしすぎによる学習忌避、睡眠不足などによる健康状態の悪化、悪い情報の習得、さらに犯罪に巻き込まれる可能性も否定できない。
子供の就学段階別に回答状況を見ると、小学生までは高学年になるに連れて不安度合いが大きくなる傾向がある。小学生の保護者は実に80.7%が、インターネットやSNSの利用について子供に不安を感じていることになる。利用端末の高度化やフィルターの除外化(高学年ほど安全策として保護者が設定するフィルターを解除してもらっている場合が多い)、子供自身の利用技術の向上などが、保護者の不安を高める要因だろう。
しかし子供が中高生になると、不安度合いは小さくなり、インターネットやSNSの利用について子供に不安を感じている保護者は70.7%にとどまってしまう。子供自身の判断力が相応についているため、保護者が不安を感じるようなことは起こさないだろうという考えがあるのかもしれない。大学生などでは52.8%にまで減る。
インターネットやSNSの利用に関する子供への不安度合いを経年推移で確認したのが次のグラフ。「非常に不安を感じる」「やや不安を感じる」の回答値を足した値の動向となっている。
2018年以降2020年までは漸減する傾向があったものの、2021年からはやや値を上乗せし、その状態が継続している。直近年では70.6%と、初めて7割台に届いた前回年からさらに増えている。誤差の範囲とも解釈できるが、2021年以降の値の増加については、新型コロナウイルスの流行で子供の在宅時間が増え、それに伴い(保護者が目につく範囲での)インターネットやSNSの利用も増え、必要以上と思われる長時間の利用や熱中のあまりに睡眠不足に陥るといった、保護者の不安が高まるような事態がこれまで以上に生じているのかもしれない。
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※子供の教育資金に関する調査2023
2023年1月26日から27日にかけて、大学生以下の子供がいる20歳以上の男女を対象に、インターネット経由で行われたもので、有効回答数は1000人。保護者の男女別、子供の男女別、子供の通う学校(未就学、小学校、中学校・高校、大学・短期大学・専門学校・予備校)別でそれぞれほぼ均等割り付け。調査協力会社はネットエイジア。
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