習慣的に中食をしている人はほぼ8割
食品販売ルートの広まり、特にコンビニの多数展開と利用可能地域の拡大や、食品の加工・保存技術の発達で、中食は大いに食生活に浸透することとなった。その実情をマルハニチロが2020年12月に発表した「今年の食生活に関する調査2020」(※)の結果から確認する。
次に示すのは自宅の食卓で中食を利用する人の割合を示したもの。中食の利用頻度は関係がなく、月に1日以下であっても習慣的にしているのならば該当する。単純な経験則(一度でも中食をしたか否か)ではないことに注意。
全体では79.9%の人が中食をしている。年齢階層別では30代がもっとも多く82.5%、次いで40代が82.0%。いわゆる子育て世代は多忙なために時間の節約ができる中食を積極的に活用しているのだろうか。
2019年と2020年の値を比較すると、10代以外ではすべてにおいて2020年の方が高くなっている。報告書では「30代には、コロナ禍において、普段の生活で中食をするようになった人が増えたのではないでしょうか」との解説があるが、30代に限らず増加した要因は新型コロナウイルスの流行による環境の変化が大きく影響しているものと考えられる。10代が逆に減っているのは不思議ではあるが(大学などがリモート授業化したことが関係しているかもしれない)。
それでは中食用のサービス・食材も含め、食生活をサポートする、手間を減らすのに役立つものとして、何を利用しているのだろうか。直近年の上位陣のラインアップを基にグラフ化したのが次の図。
もっとも多くの人が使っているのは冷凍食品で60.1%。次いでインスタント食品の51.4%、総菜の49.1%、レトルト食品の47.7%が続く。今調査の定義(総菜や弁当を自宅で食べたり、テイクアウトや出前をして自宅で食べたりすること)では該当するか否かは微妙なところだが、広義ではインスタント食品やレトルト食品などの加工食品も中食とするべきだとの意見もある。種類も多様化し、さまざまな調理スタイルのような料理を楽しめるインスタント食品やレトルト食品について、外食ではないが、内食とも言い難いとの考え方には否定が難しい。
合わせ調味料とは最近食品メーカーが注力をしている、料理のベースをレトルト食品化したもの。野菜や肉を買ってきて火を通し、合わせ調味料を加えて調理するだけで、一から作るのには相当の腕前が必要な料理を気軽に作れるという、便利なものである。麻婆豆腐の素、回鍋肉の素などがよく知られている。
2019年と2020年の値を比較すると、上位陣に限れば全項目で2019年より2020年の方が、多くの人が利用している。報告書では「コロナ禍の影響で、おうち時間が増え料理をするようになった人や、長期間保存できる食品を買いだめするようになった人、イートインではなくテイクアウトをして食事をするようになった人が増えたのではないでしょうか」とあるが、その推測ならば道理は通る。特にイートインは利用そのものが禁じられる場も多く、普段から利用していた人も自宅に持ち帰るしかない人も多いのだろう。
また、テイクアウトだけでなくレトルト食品や合わせ調味料や缶詰に関して、2019年と比べて2020年が大きく伸びている理由について「長期間保存できる食品を買いだめするようになった」との解説は大いに納得ができる。新型コロナウイルスの流行による環境の変化で、慣れない中食生活を強いられるようなった人も少なくあるまい。そのような人にとっては、日持ちがする方が何かと安心。また買いだめをしておくことで不安を解消するという発想もある。
新型コロナウイルスの流行による社会の変化はまだしばらく続きそうではあるし、仮に流行以前の環境に戻るような状況となったとしても、一度加速がついた中食の浸透が元に戻ることは無いだろう。2021年には中食がどこまで食生活に入り込み、関連する食品が使われるようになるのか。新型コロナウイルスの流行で生じた社会の変化という観点からも、興味深い話には違いない。
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※今年の食生活に関する調査2020
2020年11月6日から9日にかけて、インターネット経由で15~59歳の男女に対して行われたもので、有効回答数は1000人。男女比・10歳区切りの年齢階層比(10代は15~19歳)で均等割り当て。調査実施機関はネットエイジア。
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