平家一族に叶わぬ恋をした娘…徳島県那賀郡の田舎町に伝わる伝承紹介
那賀郡は、徳島県南部に位置する田舎町です。
周辺に100以上もの滝があることから、日本一の滝王国ともいわれます。
今回は、そんな那賀郡で語り継がれる伝承を紹介しましょう。
・百合の悲恋伝説
徳島県は、源平合戦で敗れた平家の落人伝説が各地に残っています。
那賀郡上那賀町もそのひとつ。
壇ノ浦の戦い後、那賀郡に平基秀(平家)の一族が逃げ延びてきました。
平家の身分を隠してこの地に滞在した平基秀一行は、村人の協力を得て山を開墾し、田畑を耕したのです。
そのようななか、平基秀の長男「秀次」に恋をした百姓の娘「ユリ」。
彼女は想いを告げますが、身分差を理由に失恋してしまいます。
その後、平家の落人が周辺に逃げ込んだとの情報を得た源氏軍が村を襲撃。
村は一夜で焼け野原となってしまいました。
ユリは秀次を探しますが、彼も遺体もみつかりません。
以降、この地に咲く白百合(神領百合)は紅い筋模様のある特徴的な見た目へと変わりました。
筋はユリの頬を流れる血の涙、紅色は平家一族の血だと語り継がれています。
幻の百合ともいわれる「神領百合」は、那賀町に咲く天然記念物の花です。
那賀郡に隣接する海陽町には阿波(徳島)の名刀・海部刀を展示している「阿波海南文化村」があり、同じく美波町には空海(弘法大師)が創建に関係したといわれる厄除けの寺「薬王寺」もあるため、興味を感じた方は那賀町と一緒に足を運んでみてください。