「ハリー・ポッター」作者「トランスジェンダー女性は女性ではない」論争に火
■スコットランドのヘイトクライム法が施行
[ロンドン発]魔法使い「ハリー・ポッター」シリーズが6億冊以上の世界的ベストセラーになった作家J・K・ローリング氏が4月1日、X(旧ツイッター)への連続投稿で、トランスジェンダーの人権を推進するリベラルな英スコットランド自治政府に「文化戦争」を仕掛けている。
「スコットランドのヘイトクライム(嫌悪犯罪)法が本日施行される。もちろん女性への追加的な保護はない。スコットランドのトランスジェンダー活動家ベス・ダグラスさん(筆者注:ダグラスはいわゆる“トランス女性”)も保護されるカテゴリーに入る。ふぅ~!」
スコットランドの性自認運動の第一人者として知られるダグラス氏はSNS上で侮辱的な言葉を使い、論議を呼ぶ女性への抗議活動を支持してきた。フェミニストを「ファシスト」と呼び、出生時の生物学的な性別と同じ人(女性)を脅す投稿に斧を持ってポーズをとったこともある。
■ダブルレイプ犯の性別の変更
「有罪になったダブルレイプ犯アイラ・ブライソンは判決を受ける直前に本当の女性としての自分を見つけた。性別を間違うことはヘイトになるので“彼女”という代名詞を尊重しなければならない」。ブライソンは2人の女性を襲い、その後、男性から女性に性別を変更した。
この事件はトランス女性の受刑者を女性刑務所に入れるのか、男性刑務所に入れるのかで論争を呼んだ。
「女子公衆トイレで10歳の少女に性的暴行を加えた身長185センチメートルのケイティ・ドラトウスキーは有罪判決後、スコットランドの女性刑務所に送られた。これで彼女は被害少女と違って暴力的で捕食的な男たちから確実に守られた」
「サマンサ・ノリスは11歳の少女2人にペニスを露出した嫌疑を晴らした。その後、レイプされて性的暴行を受ける子どもたちの画像1万6000枚を所持していた罪で有罪判決を受けた。サマンサはまだ女性として扱われている」
■「“トランス女性”は女性ではなく、男性だ」
「エイミー・ジョージが女装して11歳の少女を誘拐した。エイミーは少女を家に連れ帰り、27時間にわたって性的虐待を加えた」。ローリング氏の攻撃は性犯罪者だけでなく、女性からスポーツのポジションや仕事のポストを奪った“トランス女性”にも容赦なく向けられる。
「冗談はよして。明らかに上記の人々は女性ではなく、男性である。ヘイトクライム法を可決するにあたりスコットランドの議員たちは実際の女性や女児の権利や自由より、自分たちの考える女性らしさを実行する男性たちの感情を重視したようだ」
「この新しい法律は女性や女児のための男女別スペースをなくすことの危険性について発言する私たちを黙らせたい活動家たちによって悪用される可能性が大きい」と指摘する。ローリング氏はこれまで「ターフ(TERF、トランス排外主義フェミニスト)」のレッテルを貼られてきた。
■生物学的性別の正確な記述は犯罪?
「男性による暴力や性的暴行が女性の犯罪として記録された場合の犯罪データの無意味さ、女性スポーツに男性の出場を認めることのグロテスクな不公平さ、女性の仕事、名誉、機会がトランスジェンダー男性に奪われることの不公平さ、生物学的性別の現実と不変性」
「男性を男性と呼ぶことが許されない限り、女性と女児への暴力と性的暴力の現実を正確に描写したり、女性と女児の権利に対する現在の攻撃に対処したりすることは不可能だ。生物学的性別の正確な記述が犯罪とみなされるならスコットランドでは言論と信仰の自由は終焉を迎える」
「自らを“女性”と宣言するすべての男性を女性に含めることはスコットランドにおける女性と女児の権利と安全に深刻な影響を及ぼしている。私は現在スコットランドの外にいるが、ここに書いたことが新法で犯罪に該当するのであればスコットランドに戻った時に逮捕されることを楽しみにしている」
ローリング氏の主張は保守的な英国人女性の支持を集めている。しかし非常に限られたトランス女性による性犯罪を取り上げ、女性たちの恐怖心を煽るやり方はいかがなものか。英国でも総選挙が近づくにつれ、リベラル対保守の「文化戦争」はヒートアップしている。