転ばぬ先の杖! 「偽物のエロ」と「本物のエロ」の使い分け方
「寂しいだけのエロは偽物のエロだと思うんです。ちゃんと私を見て、興味を持って、大事にしてほしい。そんな本物のエロなら歓迎です」
先日の昼下がり。喫茶店の個室で、筆者は30代後半の美女と向き合っていた。前のめりで感じ良く会話をしてくれる彼女はモデル体型で、スカートから伸びる素足は美しい。しかも、エロ話にも楽しげに応じてくれる。正直に告白すると、筆者の性欲は通常の3倍ぐらいに高まった。
しかし、肝心のエロ話になったときに彼女が冒頭のセリフを発し、筆者は目が覚めた。2人だけの状況、感じの良い美人。この2要素だけで彼女に身体的な接触を試みたら、下手をするとセクハラで訴えられる結果になってしまう。
彼女の話を基にして考えると、男性のエロには2種類がある。1つは、寂しさや自己承認欲求、支配欲性欲と結びついたものだ。母親をはじめとする女性への怒りや憎しみが入り混じるケースもある。エロの対象となる女性は「好みのタイプ」ならば誰でもいい。あくまでも自分が中心であり、相手が人格を持った人間だとは考えない。これを「偽物のエロ」と名付けよう。
もう1つのエロは、相手の女性への興味と尊敬、愛情を前提としたもの。一緒に話しているだけでも幸せだけど、フラれることを恐れて「見守っているだけで十分。性の対象じゃない」などと子どもっぽいことも言わない。憧れの彼女とできればお付き合いをしたいのだ。もちろん、彼女の意志を尊重したうえでのこと。これを「本物のエロ」と呼びたい。
性犯罪につながりかねない「偽物のエロ」は悪なので一掃すべきだ、というキレイごとを言うつもりはない。店舗型の風俗店を規制したらデリバリーヘルスが増えたように、安易な浄化作戦は現実を見えにくくするだけだ。
我々男性には「偽物のエロ」もあることを認めて、一人ひとりが適切な処理方法を知るべきだと思う。例えば出張先のビジネスホテルでムラムラした場合であれば、成人向け放送サービスを利用すればよい。それで性欲の部分を解消しておけば、ホテルの従業員女性に無理に言い寄るなどは妄想のうちに留め、安らかな眠りにつけるだろう。
余談になるが、よく働きよく稼いでいる既婚男性の中には独身女性との不倫を長く続けている人も少なくない。双方が合意したうえでの「恋愛」ではあるが、彼は彼女を一人の対等な人間として大切にしているだろうか。「オレは40代だけどまだモテるか確認したい」といった自己承認欲を満たしているに過ぎないのではないか。それでは「偽物のエロ」だ。できれば一人で、もしくはプロの助けを借りて処理しよう。
相手も自分も幸せにするような「本物のエロ」を追求する。これが大人の男性だと思う。自分の中の「偽物のエロ」と「本物のエロ」を見分け、適切に使い分けられるようになりたい。
※今朝公開の原文には、渦中の芸能人男性の名前を例として記しました。編集部より「不起訴処分の理由については明らかになっておらず、嫌疑なしの可能性もある。犯罪者との決めつけは危険」との指摘を受け、訂正しました。2016年9月23日筆者