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「鬼滅の刃」や「呪術廻戦」続編発表の絶妙なタイミングによる効果とは

小新井涼アニメウォッチャー
「鬼滅の刃」全集中展展示(筆者撮影)

大反響のうちに最終回を迎えた「鬼滅の刃 遊郭編」。

最終話が放送された昨夜、放送終了と共に「刀鍛冶の里編」のテレビアニメ化も発表され、早速話題となっています。

奇しくも週末12日には「呪術廻戦」のテレビシリーズ2期が発表され、人気の両作による続編発表に、この週末は大いに盛り上がりました。

まだまだ発表だけの段階にもかかわらず、人々がこれだけ盛り上がるアニメの続編発表、その絶妙なタイミングがもたらす効果について考えてみます。

■わんこそば的タイミング

実は続編発表のタイミングに共通点の多いこの「鬼滅の刃」と「呪術廻戦」。

まずは改めて、その特徴を概観してみましょう。

「鬼滅の刃」

「呪術廻戦」

こうしてふり返ってみると、テレビシリーズではその最終回と共に、劇場版公開時には公開後数ヶ月を過ぎたヒットの最中で、続編の発表がされています。

まるで(どんなにおかわりしても満腹にならないことを除いては)食べきったと思いきやおかわりがくる”わんこそば”のような、こうしたタイミングで続編が発表されることには、どのような効果があるのでしょうか。

■盛り上がりを絶やさない

一番に考えられるのは、盛り上がる作品ファンの熱を絶やさないということです。

いくら続編であれ、アニメは新しいテレビシリーズや劇場版制作の放送や公開までに、最低でも年単位での時間がかかることがほとんど。

特に映像面での評価も高い「鬼滅の刃」や「呪術廻戦」などについては、その制作にもかなりの時間と労力がかかるであろうことは想像に難くありません。

とはいえやはり時間がかかるほど、最高潮の盛り上がりを維持し続けるのはどんな人気作品でも難しくなっていきます。

だからこそ、たとえ実際の放送や公開まで期間が空いてしまっても、続編への期待によってファンの盛り上がりを絶やさないために、間髪を空けずに”次があること”を伝えておくことが重要になってくるのでしょう。

そうすることで実際に、待っている間も続編の新情報が発表される度に話題にもなりますし、最終回や劇場版大ヒット中という最高に盛り上がっている、言い換えれば注目度も高いタイミングで告知をすることで、続編の発表を、ファンに着実に届けることもできています。

だからといって全ての作品で同じような効果が期待される訳ではありませんが、ただでさえ多くの作品が溢れる昨今、このわんこそば的な続編発表のタイミングは、作品の盛り上がりを絶やさないためにはかなり効果的であるように思います。

テレビアニメの放送を機に、よりその人気を高めたという共通点も持つ両作ですが、振り返ってみると「鬼滅の刃」は2019年から、「呪術廻戦」は2020年からと、トレンドの移り変わりも激しい中で、その盛り上がりはかなり長い間続いています。

もちろんその大前提として、多くの人が心血を注いでいる原作やアニメそのものの面白さがあってのことですが、人気が持続するひとつの要因には、こうした間髪入れない続編発表による効果というのもあるのではないでしょうか。

アニメウォッチャー

北海道大学大学院国際広報メディア・観光学院博士課程在籍。 KDエンタテインメント所属。 毎週約100本以上(再放送、配信含む)の全アニメを視聴し、全番組の感想をブログに掲載する活動を約5年前から継続しつつ、学術的な観点からアニメについて考察、研究している。 まんたんウェブやアニメ誌などでコラム連載や番組コメンテーターとして出演する傍ら、アニメ情報の監修で番組制作にも参加し、アニメビジネスのプランナーとしても活動中。

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