五円玉の中の十三夜
昨夜は十三夜でした。
旧暦八月十五日の夜の月が「中秋の名月」で、その翌月の旧暦九月十三日の月が「十三夜」です。名月はほぼ満月を愛でるのに、十三夜はなぜ、中途半端に欠けた月を観賞するのでしょう。日本人は古来から、すでに完成したものより、これから完成に向かう途上のものを好むのだとか色々言われていますが、私は、昔は月の出る時間が重要だったのではないかと思います。
中秋の名月は、現在の暦では九月中旬になることが多いので、まだ気温が高く、少々の夜更かしをしても寒くはありません。ところが「十三夜」の時期になってくると、夜間は急に冷え込み、夜更けまで月を観賞するという気分にはならなかったのではないでしょうか。
昨日「十三夜」の月の出時刻は15時30分です。日没前の夕暮時でも、はっきりと月が見えました。月を観賞するというと現代人は夜を連想しますが、今のように明るくなかった昔は、陽が沈む前のまだ明るい時間帯でも、月を愛でていたのではないかとおもいます。その意味では、月の出の早い「十三夜」は、まだ気温の高い夕方の時間帯こそゴールデンタイムなのではなかったかと想像するのです。
満月は、腕の先に持った五円玉の穴に入る
満月の大きさは意外に小さくて、腕を伸ばした先の五円玉の穴の大きさと等しいと、よく言われます。計算上はそうなるはずですが、実際にそうした画像はほとんど見たことがありません。ところが、私の知人の石橋力さんが、昨夜の「十三夜」で、それを試しました。
57センチ先(腕の長さに相当)に5円玉をセットして撮影したのが、この写真です。見事に十三夜が五円玉の中に入り、月のウサギの模様までみてとれます。
今夜は旧暦九月十四日、東京では16時54分に月齢14.1のほぼ満月が上ってきます。
月の美しい時期です。ぜひ、五円玉に月が入るか、ご自分でご確認していただきたい。
五円玉の穴から月が見える理由