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イチローや岩隈らも指揮! MLB通算774勝のウェッジ氏が母校の大学チームで監督復帰へ

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
マリナーズ監督時代は2012年日本開幕戦で来日しているエリック・ウェッジ氏(左)(写真:ロイター/アフロ)

【ウィチタ州立大がウェッジ氏の監督就任を正式発表】

 カンザス州にあるウィチタ州立大は29日、同校出身であり、MLB10年間で通算774勝を記録しているエリック・ウェッジ氏が同校野球チームの監督に就任したことを発表した。米メディアの報道によると、契約期間は5年間だという。

 ウェッジ氏を招聘した責任者で、同校でアスレティック・ディレクターを務めるダロン・ボートライト氏は、両者がサインした契約書の画像を添付して以下のような報告ツイートを投稿している。

【35歳でインディアンズ監督に抜擢、2007年は最優秀監督賞に】

 ウェッジ氏といえば、2003年にインディアンズ監督に大抜擢されると、一躍時の人になった人物だ。傘下のマイナーリーグで5年間の監督経験があったとはいえ、まだベテラン選手と変わらない35歳だったこともあり、世の関心を集めることになった。

 当時のインディアンズは前年にチャーリー・マニエル監督がシーズン途中で解任されるなど、1990年代後半から続いていた黄金期が終焉を迎えつつあった。そんな時にチーム再建を任されたのがウェッジ氏だった。

 結局就任7年間で561勝573敗と負け越しているが、2007年は96勝66敗でチームを地区優勝に導き、自身も最優秀監督賞を受賞している。

 この実績が評価され、2011年から3年間マリナーズの監督を務めた。ここでも213勝273敗と負け越しに終わったこともあり、チームから契約延長のオファーがあったものの、自ら断り球界を去っている。

【日本人選手との縁が深く計5選手を指揮】

 実はウェッジ氏のMLB監督時代は、日本人選手との縁も深かった。そのため個人的にも何度か直接取材した経験がある。まずインディアンズ監督時代は2008年から2年間小林雅英投手、さらに2009年には大家友和投手が同チームに在籍している。

 またマリナーズ監督時代も、イチロー選手、岩隈久志投手、川崎宗則選手が在籍している。さらにマリナーズは2012年に日本開幕戦のため来日しているし、またその年はイチロー選手がシーズン途中でヤンキースにトレードされたこともあり、たぶん日本の人たちにもウェッジ氏が強く印象に残っているのではないだろうか。

【ウェッジ氏に託された名門復活という使命】

 今回のウェッジ氏の監督就任で、ウィチタ州立大は名門復活を目指している。というのも、ウェッジ氏が所属していた当時のチームは、全国屈指の強豪校の1つだった。

 1980年にNCAAトーナメントに初出場して以降、同大会の常連校になり、1982年には大学王座を決める『カレッジ・ワールドシリーズ』(トーナメントを勝ち上がった上位校のみで争われる王者決定戦)にも初出場を果たし、1989年には大学王座を獲得している。

 以降2000年代までずっと全国レベルの強豪校の一角に加わり続けたが、2010年を最後にカンファレンス優勝から遠ざかり、2013年以降はNCAAトーナメントにも出場できていない状態が続いていた。

 残念ながら同校の野球シーズンは終了しており、ウェッジ氏が実際に采配を振るうのは2020年シーズンからとなる。果たして彼の手腕で、名門を復活させることができるだろうか。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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