2月の海外投資家による米国債保有高が過去最高に、日本はトップを維持
米財務省が4月15日に発表した2020年2月の国際資本収支統計における米国債国別保有残高(MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES)によると、海外投資家による米国債保有高が7兆667億ドルとなった。
15日のロイターの記事によると、これは過去最高となるようで、日本の保有高も増加しこちらも過去最高額となった。
MAJOR FOREIGN HOLDERS OF TREASURY SECURITIES
日本の2月における米国債保有額は1兆2683億ドルとなり、前月比で566億ドル増加し、トップを維持した。これに対して、2位の中国は1兆923億ドルとなり、前月比で137億ドルの増加となったものの、日本と中国の米国債残高の差は再び拡大した。
国、米国債保有額、前月比(単位、10億ドル)
日本(Japan) 1268.3 56.6
中国(China, Mainland) 1092.3 13.7
英国(United Kingdom) 403.2 30.5
ブラジル(Brazil) 285.9 2.6
アイルランド(Ireland) 282.7 11.3
ルクセンブルク(Luxembourg) 260.8 5.6
香港(Hong Kong) 249.8 20.2
スイス(Switzerland) 243.7 5.6
ケイマン諸島(Cayman Islands) 219.4 3.3
ベルギー(Belgium) 218.0 8.6
1月末あたりから、あらたなリスク要因が出てきた。中国で新型のコロナウイルスによる肺炎が発生し、感染が拡大してきたのである。米中貿易摩擦、中東情勢の悪化、英国のEU離脱といった大きなリスクがやっと沈静化しつつあったところだけに、市場ではまたかとの認識も強かったのではなかろうか。ところが、現実はまたかどころの騒ぎではなくなってしまった。
中国発の新型コロナウイルスは中国にとどまらず、日本を含めたアジアから欧米に急速に拡がり、パンデミックの様相となってきた。これを受けて2月はじめに1.65%あたりまで上昇していた米10年債利回りは、リスク回避の動きや、FRBによる利下げなどから、2月いっぱいは低下基調が続いた。つまり米国債は買い進まれ、3月9日に米10年債利回りは0.31%まで低下したのである。
その後、今度はリスク回避の動きはキャッシュ化の動きを強めることとなり、安全資産とされる金が売られ、米国債も一時換金売りに押されることとなる。この際に各国が米国債の保有額をどのように調整したのかも興味深いところ。3月の数字もしっかり確認しておきたい。