中東の地政学的リスクと原油価格
12日の米国市場ではイランが近くイスラエルに報復攻撃をするとの見方から原油先物は買われ、WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物5月限は一時87.67ドルと約5か月半ぶりの高値を付けていた。
13日にイランがイスラエル本土をミサイルやドローンで攻撃した。
日本時間15日早朝の時間外取引では1バレル85ドル台後半で取引を開始。一時86ドルを超えたものの、12日につけた高値には達してはいない。
イランは産油国であると同時に、世界の石油供給の大動脈であるホルムズ海峡に面している。
13日にはイラン革命防衛隊がイスラエルに関連する貨物船を拿捕したと伝えられた。
いまのところ、原油先物価格は比較的落ち着いた動きとなっている。イスラエル側が報復に動くかが不透明となっており、まさに様子見となっている。
イランは300発以上のミサイルと無人機を発射したようだが、大半は米国を含むイスラエルの同盟国の支援によって迎撃されたとされる。
イランもこのあたりを見越していた可能性がある。イスラエルも報復攻撃を行う可能性も高そうだが、対立激化を避ける意味でも被害そのものは抑えられることも予想される。
ただし、これによって中東の緊張がさらに高まり、ホルムズ海峡への影響などによっては、WTI先物が再び90ドルを窺うことも予想される。
原油を輸入に頼る日本にとって、円安とともに原油高は物価を直撃する。
賃金上昇を伴っての物価上昇だけでなく、さらにコストプッシュによる物価上昇によって思わぬ物価の跳ね上がりもありうるだけに、日銀の金融政策の行方にも影響を与える可能性がある。