債券市場の機能低下が顕著に
日銀が1日に発表した「債券市場サーベイ」の5月調査によると、債券市場の機能度に対する市場参加者の見方を示す機能度判断DIはマイナス27となった。前回2月調査のマイナス21から悪化した。
マイナス27は2021年8月調査以来の低水準となった模様(2日付ロイター)。
イングランド銀行が利上げを進め、FRBも利上げを開始し、7月にもECBは利上げを始めることが予想されている。
欧米の中央銀行が物価上昇を背景に金融政策の正常化を進めているのに対し、日銀は非常時対応の金融緩和策を続けるどころか、連続指し値オペを実施するなど、むしろ緩和策を強化している。
この連続指し値オペの実施もあって、債券市場の機能が一段と低下しつつあることが、今回の調査からもうかがえる。
今回のサーベイでの長期金利見通しをみると、債券市場参加者は2023年度末あたりまで0.25%という見通しを示している。つまり、黒田東彦日銀総裁の任期(2023年4月8日)までは、異質で異常な政策を続けるとの見通しである。
企業物価が前年比10%もの上昇となっているなど、現在の環境から考えて、果たしてそこまで現在の政策を引っ張ることができるのかは疑問である。
さらに債券市場の機能が低下しているということは、いざ動き出した際には、その受け皿となる参加者も少なくなる可能性があるということを示す。
市場の厚みを奪ってまで日銀は何をしたいのか。このまま債券市場が来年4月までおとなしくしているということは、むしろ想像できないのであるが。