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アーロン・ジャッジを超えた?カブスの若き主砲がみせる驚異の快進撃

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
今やカブス打線を牽引する存在になった25歳のウィルソン・コントレラス選手(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 シーズン前半戦終了時点で地区首位のブルワーズに5.5ゲーム差の2位だったカブスだが、後半戦開幕と同時に6連勝を飾るなどチーム状態が上向き、8月6日時点で16勝6敗と7カード中6カードで勝ち越しに成功。7月23日にブルワーズに追いつくと、現在も地区首位の座をキープしている。

 カブスのチーム状態が上昇した大きな要因の1つが、打線の奮起だ。シーズン前半戦は.239に留まっていたチーム打率が、後半戦は.272(8月5日現在)まで上昇しているのだ。中でもここまで好調打線の象徴ともいえる存在になっているのが、最近は4番打者に定着した25歳のウィルソン・コントレラス選手だ。

 昨年MLB初昇格を飾ると、“打てる捕手”として活躍の場を広げ、シーズン終盤には正捕手の座を勝ち取ることに成功。今シーズンも開幕から正捕手として活躍していたが、チーム内では奮起していたとはいえ、シーズン前半戦は打率.261、11本塁打、41打点と自慢の打撃は今一つの状態だった。

 ところが後半戦に突入すると、コントレラス選手が一気に爆発し始めた。オールスター戦以降8月6日時点で、打率.346、10本塁打、19打点と、抜群の成績を残し続けている。

 その勢いを留まるところを知らず、更に上向き続けている。8月に限ってみると、6試合の出場で打率.455、5本塁打、13打点を誇り、強打者の指標の1つであるOPS(出塁率+長打率)では驚異の1.660を記録するなど、前半戦で快進撃を続けたヤンキースのアーロン・ジャッジ選手をも凌ぐ爆発力をみせている。

 特にコントレラス選手の打撃で特筆すべき点は、チャンスでの強さだ。得点圏での成績は、打率.392、9本塁打、55打点と、確実に得点に繋げている打撃を披露。3ランもしくは満塁本塁打数においても計10本でチーム1位だし、さらに3打点以上記録した試合数10もチーム1位に輝いている。

 シーズン前半戦は打線の不調もあり、マドン監督は打線の組み替えを積極的に行い4番打者も様々な打者を起用してきたが、大きな効果はなかった。しかしシーズン後半戦はコントレラス選手を4番に固定することができるようになった。もちろん4番打者としても打率.330、13本塁打、35打点と抜群の成績を残し、彼が4番に入った試合はチームも17勝9敗と大きく勝ち越しに成功している。

 コントレラス選手の勢いはどこまで続くのか?若き大砲の活躍に注目したいところだ。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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