【隠岐の島町】牛の本気のぶつかり合い「八朔牛突き大会」の迫力に圧倒される
島根県沖60kmに浮かぶ隠岐諸島。
独自の文化や歴史を持ち、ユネスコ世界ジオパークにも認定されるほど豊かな自然が広がるこの隠岐諸島の中の最大の島、「隠岐の島町(おきのしまちょう)」。
この島で先日の9月4日、毎年夏の終わりに開催される「八朔牛突き大会」が3年ぶりに開催されました。
今回はそのレポートしていきます!
まずそもそも牛突きとは何なのでしょうか。
「牛突き」は、牛と牛のツノを突き合わせて、どちらか一方の牛が逃げた方が負けとなります。牛突きの発祥については、後鳥羽上皇を慰めるために村人が御前で行なったとも言われています。またこの佐山(牛突きの会場)でのこととして、中世にこの近くで争いがあり、そこで亡くなった人々の慰霊のために牛付きが行われるようになったとも言われています。
佐山牛突き場での八朔牛突き大会は、9月1日(旧暦8月1日)の壇鏡神社八朔祭の日に行います。壇鏡神社八朔祭は江戸時代には行われていたと記録があり、八朔牛付き大会も歴史ある大会とされています。現在は、西郷の牛突き夏場所大会、五箇の一夜獄牛突き大会とともに、勝負のある大会として、多くの人が集まります。
牛突きでは、負けた牛が本能的に戦えなくなることから、勝負をつけることはあまりないそうです。
しかしこの八朔牛突き大会では、数少ない牛の真剣勝負を見ることができるんです。
そんな八朔牛突き大会の会場となるのは、佐山牛突き場です。
場所は港から車で40分ほどの山の中。
地図で見ると、本当にここに何かあるのかと疑ってしまうくらいに何もない山の中にポツンとあるんです。
たどり着いた牛突き場はこちら。
深い山の中に突然現れる牛突き場。柵の囲いの中が広く窪んでおり、この中で牛突きを行うようです。
牛の土俵入りが14時から。そこに合わせて多くの方が見物しに来ていました♪
座元(地元サイド)と、寄方(島内の他地域サイド)に分かれて取り組みを行う様です。
まず初めに土俵入りしたのは地元那久(なぐ)の突き牛達。
とにかくデカいんです。昂っている牛もいて、遠くからでもすでに迫力を感じます。
その後対戦する寄方の突き牛達も土俵入り。
ここから牛達の本気のぶつかり合いが始まります。
こちらは番付表で、全6回戦行われます。下から順番に行われ、前頭戦は決着をつけず引き分け試合になります。
そして冒頭で述べた通り、勝負をつける試合があるのですが、これが横綱戦です。最終戦は1トンに近くなるほど大きな横綱級の牛が、死力を尽くして戦う大迫力の試合になります。
まずは前頭五枚目から取組が開始。
隠岐の相撲唄とともに土俵入りをしてスタートです。
会場に響く「ゴツン!ゴツン!」という牛のツノがぶつかり合う鈍い音が牛突きの衝撃の激しさを感じさせます。
さらに牛を操る各地区の代表の方の声も相まって、土俵から伝わる熱量でこちらも興奮してしまいました♪
前頭一枚目の超重量級の戦いも大迫力♪
柵にぶつかりそうになるほど広い土俵の中で激しく押し合いが続いていました。土俵の土が舞うほど地面を蹴り上げて約1トンの巨体がぶつかり合います。
牛の迫力もすごいのですが、それを操る牛飼いさんの度胸も尋常じゃないですね。
そして最終大一番の横綱戦。
土俵を挟んだ座元・寄方の両サイドから、熱のこもった相撲唄が聞こえてきます。
屈強な男性達が声を合わせて歌う民謡ほどカッコイイものはないなと、会場の徐々に上がっていく熱量や一体感を肌で感じながら、そんなことを思っておりました。
まず土俵入りしてきたのは座元の横綱「怒涛」。
続いて入ってきたのが寄方の「金剛力」。
両者とも1トンに近い巨躯で、首回りも驚くほど太い屈強な牛です。
会場に集まった観客の方々も立ち上がって両者を迎えます。
そして始まった気迫の一戦。
柵の周りには多くの方が見守る中、ツノのぶつかり合う鈍い音が響きます。
牛飼いの方々の牛を鼓舞する声も響き、土俵から伝わる気迫に思わず鳥肌も立ちました。
両サイドの方々が真剣に見守り、応援の声が響き渡る中、最後の大一番は30分以上にも渡り一進一退の攻防が続きます。
勝負が決した後、本気の戦いがこんなにも心揺さぶるものかと思うほど感動をしてしまいました。
会場からも両方の牛を闘いを讃える歓声や拍手が続き、八朔牛付き大会は終了いたしました。
本気の牛の闘い、みなさんにも是非ともご覧いただきたい。牛と会場の迫力、熱気を是非感じていただければと思います。
次回開催の際は是非隠岐にきてみてくださいね♪
隠岐で行われる牛突きを今後も発信していきます。
八朔牛突き大会
場所:佐山牛突き場
〒685-0026 島根県隠岐郡隠岐の島町上西
料金:入場料無料
アクセス:西郷港から車で約40分
駐車場あり(無料)