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ローマ教皇 2022新年の挨拶でキラーロボット所有と攻撃禁止訴え「国際社会でしっかりと管理を」

佐藤仁学術研究員・著述家
(提供:Vatican Media/ロイター/アフロ)

ローマ教皇フランシスコが新年の挨拶を行った。新型コロナウィルス感染拡大のウィルスの不平等や教育問題など世界的な課題についてコメントをしていた。そのうちの1つとして「キラーロボット」と称される自律型殺傷兵器についても言及していた。

ローマ教皇は「自律型殺傷兵器は核兵器のように国際社会でしっかりと管理していかないといけないです。核兵器は廃絶されるべきです。国際社会の安全保障において大きな脅威です。人間の判断を介さないで標的を攻撃できる自律型殺傷兵器を所有することは非倫理的です。このような兵器を所有し、攻撃することを思い止まらせないといけません」と語っていた。

2021年12月にスイスのジュネーブで国連の特定通常兵器使用禁止制限条約(Convention on Certain Conventional Weapons: CCW)の会議が開催されており、自律型殺傷兵器について議論されていた。AI(人工知能)技術の発展とロボット技術の向上によって、軍事でのロボット活用は進んでいる。戦場の無人化が進むとともに「キラーロボット」と称される人間の判断を介さないで攻撃を行う自律型殺傷兵器が開発されようとしている。

人間の判断を介さないで標的を攻撃することが非倫理的・非道徳的であるということから国際NGOや世界30か国が自律型殺傷兵器の開発と使用には反対している。ロシアやアメリカ、イスラエルなどは反対していないので、このように積極的に軍事分野での自律化を推進しようとしている。実際にすでにリビアで使用された可能性があると国連も報告している。

会合に先駆けて政府専門家会合(Group of Governmental Experts :GGE)が行われていたが、各国で自律型殺傷兵器に対する姿勢が異なるため、自律型殺傷兵器開発や使用の規制や禁止に向けた大きな進展は見られなかった。

ローマ教皇庁(バチカン)の国連代表部のジョン・ピュッツアー氏もCCWにおいてキラーロボットの開発、使用の禁止を訴えていた。しかし国際社会での一致した結論は出ずに「これからも自律型殺傷兵器の開発や使用については継続して協議をしていく」となった。

学術研究員・著述家

グローバルガバナンスにおけるデジタルやメディアの果たす役割に関して研究。科学技術の発展とメディアの多様化によって世界は大きく進化してきました。それらが国際秩序をどう変化させたのか、また人間の行動と文化現象はどのように変容してきたのかを解明していきたいです。国際政治学(科学技術と戦争/平和・国家と人間の安全保障)歴史情報学(ホロコーストの記憶と表象のデジタル化)。修士(国際政治学)修士(社会デザイン学)。近著「情報通信アウトルック:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)「情報通信アウトルック:ビッグデータが社会を変える」(同)「徹底研究!GAFA」(洋泉社・共著)など多数。

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