ドル円は153円台、円安はどこまで進むのか
9月30日にFRBのパウエル議長が、今後の利下げペースについて、時間をかけて展開するプロセスであり、急ぐ必要はないと述べた。
その後もアトランタ連銀のボスティック総裁は10日に経済指標で適切と示されれば、11月のFOMCで利下げを見送ることに「問題はない」と述べるなど、利下げにに慎重な発言が関係者から出ていた。
10月4日に発表された9月の米雇用統計は非農業雇用者数が前月比25万4000人増と市場予想の15万人増程度を大きく上回り、失業率は4.1%と8月の4.2%から低下し、平均時給の伸びも市場予想を上回った。
10日に発表された9月の米消費者物価指数、変動の大きいエネルギーと食料品を除いたコア指数は同3.3%上昇と前月の3.2%上昇からわずかに加速していた。
FRBは11月のFOMCでも0.5%の利下げを行うとの予想が出ていたが、利下げ幅は0.25%に止まる、もしくは利下げそのものがスキップされる可能性が出てきた。
11月5日には米大統領選も予定されていることもあって、11月6日~7日のFOMCで利下げは見送られる可能性はそれなりに高いとみている。
10月30日、31日には日銀の金融政策決定会合が開催される。
18日にブルームバーグは日本銀行は、海外経済や金融市場の先行きが不透明な中で、今月の金融政策決定会合で追加利上げを急ぐ必要性は乏しいとの認識を強めていると伝えた。
ただし、物価情勢は2%目標の実現に向けて着実に前進しており、その後の追加利上げの可能性は排除されない状況という。複数の関係者への取材で分かったと。
衆院選もあり、10月の決定会合では利上げは見送られ、12月の決定会合で利上げが検討される可能性が高い。
FRBの利上げ見送りの可能性とそれを受けての米長期金利の上昇、日銀の利上げは早くて12月との観測も強まり、これは円売りドル買い圧力を強める格好となった。
ドル円は17日のニューヨーク外国為替市場で150円を突破してきた。このまま米長期金利が5%に向けて上がり続けることは考えづらいが、4.5%あたりまでの上昇があってもおかしくはない。
ドル円も155円あたりまでの上昇もありうるか。また、金利動向による影響以外のもので動くことになると再び160円台を付けることも考えられなくもない。
衆院選の結果による政局、その後の財政動向などに影響される可能性もありうる。実際に28日にドル円は153円台を付けてきた。
日本国債の利回りも抑えられている状態が続いているが、こちらも選挙結果次第では動きをみせることが予想される。
FRBと日銀は当面、動きをみせないかもしれないが、金融市場そのものは波乱の展開となる可能性もあり、それがドル円にも反映される可能性がある。想定外のことにも備える必要があるかもしれない。