現実味を帯びてきたドウェイン・ウェイドの中国リーグ入り
ESPNが現地24日に報じたところでは、中国のプロバスケリーグ(CBA)の浙江ゴールデンブルズが、まだ来シーズンの所属先が決まっていないドウェイン・ウェイド選手に対し大型契約を提示した模様だ。これまでも多くの大物NBA選手を獲得してきたCBAだが、ウェイド選手の獲得となればこれまで以上に大きな話題を集めることになりそうだ。
報道によれば、浙江からウェイド選手に提示された契約内容は3年契約で総額2500万ドル(約27億8000万円)で、1シーズン辺りの年俸額は現在のCBAでも最高額で、これまで海外リーグに移籍したNBA選手が結んだ契約の中でもトップクラスにランクするという。
もちろんウェイド選手の実績はそれに見合うものだろう。昨シーズンまでNBAに15シーズン在籍し、オールスター戦に計12回選出されるスター選手だ。この間3度のNBA王座を獲得し、オールスター戦、NBAファイナルでもそれぞれ1度ずつMVPを受賞。またNBAキャリアのほとんどをマイアミ・ヒートに在籍していたため、同チームの通算得点、通算アシストのチーム記録を保持している。
さらにNBA以外でも、米国代表としてアテネ五輪、北京五輪の2大会に出場しメダル獲得に貢献。一時期はヒートでチームメイトだった同年代のレブロン・ジェームス選手とともに一時代を築き上げた選手だ。すでに引退後の殿堂入りは確実だといわれている。
昨シーズンは開幕前にシカゴ・ブルズを解雇され、クリーブランド・キャバリアーズに移籍。さらにシーズン中に古巣ヒートにトレードされ、そのままシーズンを終えていた。もし仮にヒートがウェイド選手との再契約を望んだとしても、チームの年俸総額はすでにサラリーキャップをオーバーしているため提示できる額は530万ドル(約5億9000万円)に制限されており、浙江が提示した契約内容を上回るのは不可能な状況だ。
ただウェイド選手のNBAでの生涯獲得年俸はほぼ1億8000万ドル(約200億円)に到達しており、今更金銭面にこだわりがあるとは思えない。その一方ですでに36歳になり選手としてピークを過ぎたウェイド選手が、異国の地ながら3年間プレーできる保証を得られるというのは大きな魅力だろう。またウェイド選手はつい最近、中国最大のスポーツ用品メーカー『LI-NING』と生涯契約を結び中国を訪問するなど、同国との結びつきを強くしているのも気になるとことだ。
CBAは過去にも大物NBA選手を獲得してきた十分な実績がある。特に有名なところでは、ステフォン・マーブリー選手、トレイシー・マグレディ選手、ギルバート・アリーナス選手、メタ・ワールド・ピース(旧名「ロン・アーテスト」)選手──のオールスター選手が名を連ねている。
多少余談であるが、昨シーズンBリーグでプレーし、過去にCBAに在籍した経験のある外国人選手たちに話を聞かせてもらったことがあるが、CBAはシーズンが短いのにNBAの最低年俸以上の金額を補償してくれ、さらにシーズン終了後は他国のリーグでプレーできるので、選手にとってお得感があるらしい。そんな点もCBAに多くの米国人選手が集まる魅力なのかもしれない。
果たしてウェイド選手はどんな決断を下すのか?やはり気になるところだ。