【前橋市】社会貢献しながら自分探し。高齢者見守りサービスがもたらす意外な発見
自分の適性って、意外と自分では分からないものです。自分はどんな性格なのか、どんな仕事に向いているのか、社会に貢献できる仕事がしたい、そのためには会社員を続けるより起業すべきではないか等々、単に好き嫌いだけでなく、
「自分に本当に向いていることをやりたい」と考えている人は多いはずです。
本を読んだり周囲に相談するのも良いことですが、自分の人生に関わることです。ここはひとつポジティブに行動しながら考えてみるのも良いかもしれませんよ。
実は「自分探し」をしている人にとってうって付けの活動があるんです。
「独居高齢者見守りサービス」というのをご存知でしょうか?
今、「高齢者の一人暮らしが増えている」ことは大きな社会問題になっています。
前橋市も例外ではなく、いわゆる「独居高齢者」は増え続けているのです。
群馬県の調べでは前橋市内に住む一人暮らしの高齢者(70歳以上。入院・入所中の人は除く)は、令和4年6月1日時点でなんと7,747人。
皆さんのご近所にもきっと思い当たるお宅があるのではないでしょうか。
が、「独居高齢者見守りサービス」って?
前橋でこのサービスを展開している「NPO法人ソンリッサ」の活動に多くの人が参加していると聞き、代表理事の萩原涼平さんにお話をうかがいました。
「高齢者の一人暮らしには、ご近所との関係性が希薄になっていること、つまり社会的孤立という現状があります。そうなると具体的に何が問題になるのか、主に次のことが挙げられます。
① 具合が悪くても相談する人がいない(「大丈夫だろう」と我慢してしまう)。
② 病院に行きたくても一人で行けない(運転免許を返納している人が多い)。
③ 周囲とのコミュニケーションがほとんどないため、認知症になりやすい(一日中誰ともしゃべらず、一言も発しない日が珍しくない)。
④ 孤独死。亡くなっても誰も気づかない(社会的孤立により死亡率は29%上昇する※論文からソンリッサが導き出した数値)。
『独居高齢者見守りサービス』は、それを防ぐために一人暮らしのお年寄りのお宅にうかがったり、公民館などに集まっていただいてコミュニケーションを図るというサービスです。ですから活動には保健士や看護師だけでなく、地域の自治会との協力関係も欠かせません」
なるほど! よく分かりました。
その活動にはどんな人が参加しているのでしょうか?
「様々ですね。主に20代から40代。学生さんも多いですよ。地域政策を学んでいたり、精神保健福祉士などの資格取得を目指している人。すでにバリバリのビジネスマンで自分の得意分野をこの活動で生かしたいと言ってくれる人もいますし、中には自分もこういった活動で独立・起業したいという人もいます。私自身は祖母の一人暮らしがきっかけでこの活動を始め、法人を立ち上げました」
自分探しができるというのはどういうことなのでしょう?
「この活動はお年寄りとコミュニケーションを取る中で自分自身を見つめ直すことができるんです。お年寄りにスマホの使い方をお教えして理解していただくと、やっぱり嬉しいんですよ。些細なことかもしれませんが、そうやって他者の役に立つとは、社会に貢献するとはどういうことなのか体験することができます。自分の中に新たな発見もあるし、そういったことを学んでから社会に出るのは必ず自分のためになると思っています」
現在、何名くらいの方が活動されているのでしょうか?
「現在、年間延べ1,000人の人が何らかの形で参加してくれています。年齢性別問わず、ソンリッサの活動に賛同してくれる方なら歓迎しています」
活動を通し、お年寄りに与えているようで、実は与えられているのかもしれませんね。
これから社会に出る人、独立したい人、そして自分探しをしている人。
思い切って参加してみてはいかがでしょうか?