#AIのiPhoneデバイス 誕生? OpenAI×ジョナサン・アイブ×SBGのデバイスを予測
KNNポール神田です。
2023年9月28日(木)FTが新たなAIデバイスのスクープを報じた。
■元Appleのデザイナー ジョナサン・アイブはAppleとの契約を解消
ジョナサン・アイブ氏は、1999年のトランスルーセントのiMacをきっかけに、iPodのデザインやiPhoneのデザインそして、現在の変わらないMacBookシリーズのデザインで知られる。AppleWATCHをデザインしたマーク・ニューソンと共に、2019年に約20年間勤務のApple社を退社し、『LoveFrom』として、年間1億ドルに近いデザイン顧問契約を5年にわたり結んできた。しかし、2023年7月にその契約が終了になったという。
Appleとの契約終了により、ジョナサン・アイブ氏は自由に他社のデザインも手掛けられるようになったからこそ、今回のニュースがスクープされたのだろう。
それでは今回の3社の現在の状況をざっくり見わたしてみることにしよう。
■オープンAIは株の売却で900億ドルのバリュエーションを目指す
対話型人工知能(AI)「ChatGPT(チャットGPT)」を開発したオープンAIは、株式売り出しの可能性について複数の投資家に話を持ち掛けている。
そして、自社の価値を800億から900億ドル(約11兆9200億-13兆4100億円)で評価を目指し、昨年の約3倍規模となる。MicrosoftはOpenAIに対して130億ドル(1兆8,200億円)を出資してきた。
MicrosoftはOSベンダーでもありながら、クラウドベンダーでもあり、ハードウェアベンダーでもある。そして今では、CoPilotやBingなどでのOpenAIまわりとの協業が多いので、ハードウェア作成の第一候補として上げることができるだろう。しかし、このニュースにMicrosoftのMの文字が一言もないということが気になる。
■孫正義のAI戦略『AGIは水晶玉』 2023年7月4日東大シンポジウム 岸田総理、西村経産大臣出席
東大、OpenAI 、ソフトバンク、Google、経産省が入り組んでのシンポジウム。
3ヶ月前のこのシンポジウムで日本の国策としてのAI戦略が本格的にスタートしたと認識してもよいだろう。冒頭には岸田総理まで駆けつけている。
その後、2023年7月7日 西村康稔 経産省大臣は、ソフトバンクのスパコン整備へ約53億円を支援を発表。経産省は、さくらインターネットが北海道石狩市で整備するスパコンへ68億円の拠出を決定している。
日本も国内AI事業には、必死に取り組もうとしているが、SBG(ソフトバンクG)は、国内専業の投資会社ではない。むしろ、国内はごくわずかの投資で、大半は海外投資だ。
投資には長けていても、ハードウェアに関しては、ロボットの『Pepper』くらいしか知見をもちあわせていない。投資側に回るというのは大正解だ。そして、ARMのAIデバイスで専用のチップ設計という新たな金脈を考えることもできそうだ。
■ソフトバンクでのGPTの社内活用事例
チャットGPT活用事例4選 BtoB向けのソリューションをAPIを活用して事例を作っている。このように、ChatGPTを含め、OpenAIとの距離はグループ全社的に強まっている。
そして、資金を調達したARMがAIのチップを設計させるというシナリオは?
■ARM上場 時価総額650億ドル(9兆5,900億円)超え 2023年9月14日
ソフトバンクグループ傘下のイギリスの半導体開発会社「Arm」が2023年9月14日、アメリカの証券取引所ナスダックに上場。2023年現在、時価総額は650億ドル(9兆5900億円)と最大規模の上場となった。ARMは48億7000万ドル(約7,180億円)を調達。ソフトバンクグループの持ち分はその価値が約120億ドル(1兆7,640億円)増えた。ARMは、2016年にソフトバンクグループが当時、3兆円を超える金額で買収。
■どんなAIデバイスが登場するのか?
なんといっても、ジョナサン・アイブのデザインで、OpenAIのAGIが搭載され、iPhoneのライバルともなる『デバイス』が誕生するとなると一番欲しがるのは、どこか… やはり、『Microsoft』が浮上する。
ソフトバンクGの10億ドル投資も含め、水面下で新たな時代のストーリーが進んでいることだろう。
AndroidとiOSにスマートフォンのOSは占拠され、ゲーム端末ビジネスとビジネスという真逆をクラウドビジネスで統治しながらなので、iPhoneデバイスに匹敵するような『AIデバイス』であれば、心の底から参入したいはずだ。
また、AndroidやiOSではない独自OSでの展開が可能となれば、30%に及ぶアプリにかかるアプリ税金を支払う必要がない。つまり100%の顧客へのサブスク料金が入ることを意味する。
新たなデバイスを作るということは、そのマニュファクチャリングとなるが、ある程度の数量が担保されるとなると、FoxconnのようなiPhoneからXboxを手掛ける電子機器受託生産 (EMS)に依頼するはずだろう。
当然、インターネット端末でもあり、Wi-Fiがあり、通信SIMスロットがあれば、もはやそれは、『スマートフォン』とも言える。そうなると、長年いなかったスマートフォンの第三勢力ともなり、そこに『AIアプリ群』のプラットフォームとして、新たな『3割のアプリ課税』が成り立つビジネスも構築できることだ。
上流から半導体の設計を開発している『ARM』も、この座組であれば、下流からのAI×移動体×長時間というデバイスでの設計を当然、ソフトバンクGの子会社として考えるはずだろう。そして、それらの設計に関するライセンスで新たな『AIデバイス』チップとしての産業構築が可能となる。
これは、Appleとしても、iPhoneの脅威の競合登場となるかもしれない。やはりキモは、OSだ。新たなOSで、さらにMicrosoft参入という路線か、Android、いやiOSという3通りの選択肢がある。
成熟度と完成度が増えた『スマートフォン』としては、新たなOSで今までになかった経験が得られるブレイクスルーをのぞみたいものだ。
また、2023年9月25日には米AmazonがOpenAIのライバルである米新興企業の
Anthropic(アンソロピック)と提携し、最大40億ドル(約6,000億円)を出資する計画を発表している。アンソロピックはGoogleからも3億ドルの出資(10%の株式)を受けている。GAFAMの次世代AI競争がさらにデッドヒートしている状況だ。