行使でも破棄でも球団が選手に「同額を支払う」オプションや、選手の破棄を球団が「覆せる」オプションも
メジャーリーガーの契約には、オプションがついていることが少なくない。その種類は大きく分けて、選手オプション、球団オプション、相互オプションの3つだ。
選手オプションは選手側に選択権があり、球団オプションは球団側が選択権を持つ。球団オプションのなかには、選手がその前に登板数など一定の条件をクリアすると、オプションではなく確定となる、確定条件付きオプションも存在する。相互オプションは、両者が行使した場合のみ、確定する。
なかには、それらのオプションが複合していることもある。
例えば、1月にダレン・オデイとニューヨーク・ヤンキースが交わした1年245万ドルの契約は、2年目の2022年が140万ドルの選手オプションとなっている。オデイがこのオプションを破棄した場合、ヤンキースは解約金として70万ドルを支払うか、315万ドルの球団オプションを行使するかを選べる。
この2つのオプションによるシナリオは、3つある。選手オプション行使→残留(年俸140万ドル)、選手オプション破棄→球団オプション破棄→退団(解約金70万ドル)、選手オプション破棄→球団オプション行使→残留(年俸315万ドル)だ。また、退団後、オデイとヤンキースは再契約を交わすこともできる。これは、他のFAと同じだ。
1年245万ドルという表記は、ヤンキースが1シーズンはオデイを保有することができ、オデイは少なくとも245万ドルを得られることを意味する。2021年の年俸175万ドルと解約金70万ドルの合計だ。オデイが選手オプションを行使すれば、合計は315万ドル(175万ドル+140万ドル)。オデイが選手オプションを破棄した後にヤンキースが球団オプションを行使すると、合計は490万ドル(175万ドル+315万ドル)となる。
オデイの約2週間前に、リーアム・ヘンドリクスとシカゴ・ホワイトソックスが交わした3年5400万ドルの契約にある、4年目の球団オプションも少し変わっている。ホワイトソックスが球団オプションを行使すれば、ヘンドリクスは年俸1500万ドルで残留する。一方、球団オプションを破棄する際にホワイトソックスがヘンドリクスに支払う解約金も、同額の1500万ドルだ。
もちろん、これだけではない。1500万ドルの解約金は、2024年から2033年にかけて150万ドルずつ支払われる。10年間の分割払いだ。ちなみに、「金利・手数料はXXXXが負担します」とは謳っていない。