ツイッター社のお財布事情をチェック
財務は改善中だが累積赤字は400億円強
チャット的なミニブログサービス「ツイッター(Twitter)」を運営するツイッター社は上場準備のため2013年10月3日付で登録届出書「S-1」を米証券取引委員会(SEC)に提出、その内容がSECから公開された。そこからはこれまで神秘のベールに包まれていた同社の財務内容を見知ることができる。
「S-1」に収録されている財務内容は2010年から2012年までの3年間分と、2013年は6月末までの半年分。ツイッターのサービス自身は2006年7月からスタートしていおり、もう数年前の値も欲しいところだが、今回はこの公開済みの年次分が取得可能な3年分の値を基に、いくつかのグラフを生成し、同社の財務状況を確認していく。
まずは売上高と営業利益率の推移。
「営業利益率」とは「売上高営業利益率」のことで、売上と営業利益の関係、つまり「本業の稼ぎにおける効率の良さ・悪さ」「売上1単位に対してどれだけ利益を上げられるか」を示している。これが高いほど本業が効率よく稼げており、マイナスならば本業は赤字となる。
グラフからも分かるように、売上高は累乗的に増加する一方、営業利益率はマイナス圏のまま。つまりツイッター社は本業の上では毎年赤字を計上し続けている。そして累積赤字は2013年6月末時点で4億1855万4000ドル(約408億円、1ドル97.46円で換算)。
もちろんグラフの通り収益状況は改善の方向にある(まだ赤字だが)。上場で得た資金をこれまでの穴埋めと、業績のさらなる改善・加速化のための投資に充てることは容易に理解できる。
各種営業指標と売上構造をグラフ化
続いて「総売上」「売上原価」「営業費用」「営業損益」「純損益」の推移もグラフ化する。3年分しかないが、大まかに同社の動向が把握できる。
「総売上」と「売上原価」の差、つまり「粗利」は大きなものになりつつあるものの、「営業費用」(「売上原価」に各種販管費を足したもの)がかさんで、「営業損益」、そして「純損益」がマイナスに落ち込んでしまっているのが分かる(「営業損益」「純損益」はほとんど同じでグラフ上で重なっている)。「総売上」の上昇率は向上しているが、せめて「営業費用」を超えないと本業部分での利益確保すらおぼつかない。
その「総売上」だが現在ツイッター社では「広告費」(現在は「プロモツイート」「プロモトレンド」「プロモアカウント」の3本柱)と「データライセンス代」の2つで成り立っている。このうち「広告費」は利用者の増加、中でもモバイル経由の利用者の急増に伴い増加し、2012年時点では総売り上げの85.0%が広告費で占められている。2010年時点の25.9%と比べると、完全に「データライセンス代」との位置関係が逆転してしまっている。
ツイッター社が上場を果たした後、その姿をどのように変えていくか、あるいは維持し進化していくか。まずは利益率をさらに高めて営業利益率をプラスに転じることが最優先課題となるわけだが、その目論見は上手くいくのか。動向を見守りたいところだ。
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