実質賃金の減少は何もしない日銀にも責任があるのでは
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厚生労働省が発表した「毎月勤労統計調査」によると、6月に労働者が受け取った名目賃金を示す現金給与の総額は46万2040円で去年の同じ月と比べて2.3%増えた。
一方、持家の住宅費用を除いた消費者物価指数は去年の同じ月と比べて3.9%上昇しており、労働者が実際に受け取った給与から物価変動の影響を差し引いた実質賃金は、去年の同じ月と比べて1.6%減り15か月連続のマイナスとなった。
これは現金給与は増加しているにもかかわらず、それ以上に物価が上昇しているため、実質的には賃金が「減少」しているという認識だが、それでどうすべきというのであろうか。
名目賃金を物価上昇分まで加味したものに引き上げろというには、いまの日本ではかなり無理があろう。
物価上昇に追いつかず15か月連続で実質賃金がマイナスとのタイトルの記事もあったが、それではどうしてほしいというのであろうか。
そもそも物価の番人である日銀が今回の物価上昇に対して、それを抑制しようとはまったく動いていない。物価が高いならまず物価の番人の日銀に文句を付けるべきではなかろうか。
物価に応じて賃金が上昇するというのは日本では高度成長期にみられたが、バブル崩壊後は物価も賃金も低迷していた。それが20年、30年も続いたあとの物価の急変であり、いまは賃金が追いついていないという前に、この物価についての分析を急ぐべきではなかろうか。
いまの日銀のように静観して、異次元緩和を維持することにもかなり違和感がある。ただし、これも物価の低迷が長すぎたことの弊害であったのかもしれない。企業にもし物価に応じた賃金引き上げを要求するのであれば、同時に物価上昇に応じた金融政策を行うよう日銀にも働きかける必要もあろう。