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結婚制度は時代遅れか否か・未婚の母を認めるべきか、世界の価値観の違いを探る

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
↑ 結婚制度は時代遅れ……なのか?

「結婚はやっぱり時代遅れじゃないよ」が多数意見

少子化問題と絡み話題に登るのが結婚制度、そして非嫡出子(結婚しないまま子供を出産する、あるいはその子供自身)の問題。日本の価値観は世界と比べて異なるのか、近しいのか。世界規模で国単位の価値観を定点観測している調査「World Values Survey(世界価値観調査)」の結果から、その実態を確認していく。

次に示すのは「結婚制度は時代遅れ」との設問に賛意を示すか否かを問い、賛意派をカウントしたもの。選択肢には「賛成」「反対」「分からない」(、結果としての「無回答」に該当)があり、いずれか一つを選んでもらっている。また今件は「World Values Survey」全体の直近の調査結果となる2009~2014年分では調査項目そのものが設定されていないため、そのひとつ前の調査2005~2009年分を最新の値としている。

↑ 「結婚は時代遅れの制度である」に賛成(2005-2009年)
↑ 「結婚は時代遅れの制度である」に賛成(2005-2009年)

最大値を示すスペインでも3割強しか回答率=「結婚は時代遅れ」との考えを持つ人がおらず、大よそ結婚制度は肯定派が多数を占めている結果となった。一方でスペイン、メキシコ、チリなどは3割前後、タイやカナダ、香港、ブラジル、スウェーデンなどは2割強が結婚制度に否定的。一部を除けば、アジア諸国が結婚制度に肯定的な雰囲気がある。

日本はインドネシアと並び、一段飛びぬけた形で低い値に留まっている。もっとも日本の場合、否定派は68.5%で「無回答」が27.4%にも達しているのが日本らしい。他方インドネシアは94.6%がはっきりと否定している。

世界で賛否両論な非嫡出子問題

非嫡出子に対する考え方は世界で意見が分かれている。今件では回答者自身の考えとして「未婚の母でありたい」とする意見を認めるか否かを尋ねているが、選択肢として「認める」「認めない」「分からない」(、結果としての「無回答」に該当)以外に「状況次第(で認める)」が加わっている。このうち「状況次第」は大きな要因であるため、単純に「認める」派のみのカウント以外に「状況次第」を加えたグラフも併記する。

↑ 「未婚の母でありたい」を認める(2005-2009年)
↑ 「未婚の母でありたい」を認める(2005-2009年)
↑ 「未婚の母でありたい」を認める(2005-2009年)(「状況次第」を加えた版)
↑ 「未婚の母でありたい」を認める(2005-2009年)(「状況次第」を加えた版)

完全容認派はスペインがもっとも多く77.4%、次いでチリの73.3%。アメリカ合衆国も5割を超えている。大よそラテン系の国では許容度が高く、それに西洋系が続き、アジア諸国は拒絶感が高いように見受けられる。また、宗教上の理由によるものもあるようだ。

日本はといえば20.5%で2割ほど。日本国内で伝えられるイメージからは、それこそ世界で最も否定的な印象すら覚えるが、実際にはそうでもないようだ

他方「状況次第」、つまりケースバイケースで容認されうるまで含めると、ポーランドやウクライナ、そして日本のように多分に容認する国があるため、順位が大きく変動する。日本の「状況次第」は4割超で、それも合わせた「(場合によっては)認めてもよいだろう」の値は6割を超える。他方アメリカ合衆国のように、肯定・否定派がほとんど相対し、「状況次第」の回答率がほんのわずかな国もある。

結婚制度の肯定・否定、さらには非嫡出子への印象だが、今件結果を見る限りでは、国によって「やっぱりそうなのか」とイメージを裏付け出来たものもあれば、「それほどまでに否定的なのか」「意外に肯定派が多いな」と多様な感想を抱かせてくれる。価値観は実に多種多様。どれが正しく、どれが間違いというものではない。

日本に限れば、結婚制度は肯定し、非嫡出子は否定的だが状況によっては容認できる……あたりでまとめられる。今後少子化問題と絡み、非嫡出子関連の精査が必要な際に、今件値が役に立てば幸いである。

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グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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