山本由伸がそうなりそうな3年連続MVPは山田久志とイチローの2人だけ。阪急/オリックス以外は皆無
村上宗隆(東京ヤクルト・スワローズ)と山本由伸(オリックス・バファローズ)は、過去2年とも、リーグMVP(最優秀選手)に選ばれている。
今年、村上の連続受賞は、途切れるだろう。一方、山本は、3年連続となる可能性が高い。
2023年に山本が記録した、防御率1.21、16勝、169奪三振は、過去2年と同じく、いずれも単独のリーグ1位。それぞれの2位は、防御率2.21の髙橋光成(埼玉西武ライオンズ)、11勝の平良海馬(埼玉西武)と山﨑福也(オリックス/今オフに北海道日本ハム・ファイターズへ移籍)、157奪三振の種市篤暉(千葉ロッテ・マリーンズ)だ。防御率はほぼ1点違い、勝ち星と奪三振も、明らかな差がある。
近藤健介(福岡ソフトバンク・ホークス)は、26本塁打と87打点に加え、出塁率.431とOPS.959もリーグ1位ながら、本塁打王は、浅村栄斗(東北楽天ゴールデンイーグルス)とグレゴリー・ポランコ(千葉ロッテ)の2人と分け合い、単独の打点王も、柳田悠岐(福岡ソフトバンク)と2打点しか違わなかった。
しかも、福岡ソフトバンクは、オリックスに15ゲーム以上の差をつけられた。今世紀に入ってからMVPを受賞した選手のうち、チームの勝率が1位ではなかったのは、2008年の岩隈久志(当時・東北楽天ゴールデンイーグルス=5位)、2013年のウラディミール・バレンティン(当時・東京ヤクルト・スワローズ=6位)、2014年の金子千尋(当時・オリックス=2位)しかいない。2001~22年に受賞した延べ44人中3人なので、その割合は7%に満たない。パ・リーグに限っても、10%未満だ。
オリックスでは、森友哉と頓宮裕真が、リーグ2位と3位の出塁率とOPSを記録した。それぞれの出塁率は.385と.378、OPSは.893と.862だ。頓宮は、僅差で近藤を凌ぎ、首位打者を獲得した。ただ、森も頓宮も、ホームランは20本に届かず、リーグ・トップ5に入っていない。打点も同様だ。
村上と山本を含め、歴代の連続MVPは、以下のとおり。1人目のビクトル・スタルヒンは、1940年の途中に「須田博」と改名を余儀なくされた。
2年連続にとどまることなく、3年続けてMVPを受賞したのは、1976~78年の山田久志と1994~96年のイチローだけだ。今年、山本がそこに加わると、阪急/オリックスの3人目かつ、日本プロ野球全体でも3人目。また、連続かどうかを問わず、3度の受賞は、山田と並び、投手では最多となる。
ちなみに、阪急ブレーブスは、1975年から78年までリーグ4連覇を飾り、その幕開けとなった1975年は、山田のチームメイト、加藤秀司がMVPを受賞した。1994~96年のオリックス・ブルーウェーブは、2位、1位、1位だった。
なお、3年連続MVPは皆無だが、王貞治は、2年連続が4度。その1度目と2度目の間、1967年も受賞している。1961~77年のセ・リーグMVPは、王が9度、長嶋茂雄が5度、あとは、村山実、堀内恒夫、山本浩二が1度ずつだ。なかでも、1963~71年は、長嶋、王、王、長嶋、王、長嶋、王、王、長嶋、の順にMVPを受賞した。
今年の投票結果は、11月28日に発表される。