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Appleが、手足のついたiPad『テーブルトップ・ロボティクス』を開発中?

神田敏晶ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント
出典:筆者 DALL·Eで作成

KNNポール神田です。

Broomberg誌のマークガーマン記者が、ユニークな記事を書いている。

新たな収益源を求めるアップル社は、iPadのようなディスプレイとロボットの手足を組み合わせた、高価な卓上型家庭用デバイス(テーブルトップ・ロボティクス)の開発を進めている。
□関係者によると、同社は現在、数百人のチームでこのデバイスの開発に取り組んでおり、薄いロボットアームを使って大画面を動かすという。アクチュエータを使ってディスプレイを上下に傾けたり360度回転させたりするこの製品は、Amazon.com Inc.のEcho Show 10やMeta Platforms Inc.の製造中止となったPortalのような家庭用製品にひねりを加えることになるだろう(筆者:翻訳)。
https://www.bloomberg.com/news/articles/2024-08-14/apple-pushes-ahead-with-tabletop-home-device-in-shift-to-robotics


これは、なにやら聞きずてておけないニュースだ。
気になるキーワードがとても多いのだ…。『テーブルトップ・ロボティクス』
『高価』『数百人の開発チーム』『ロボットアームを使って』『アクチエーター』
いったい、Appleは、いったい何を創ろうとしているのだろうか?

すでに、Google『home』や Amazon『Alexa』のように、Appleも『HomePod』を発売している。
https://www.apple.com/jp/homepod/

GoogleやAmazonは、ネットワークで連携できるキットを多く販売しており、ある程度の経済圏を形成している。AIがそれらの市場にもっと浸透してくると、連携できる機能は非常に大きく期待もできる。
しかし、常にAppleはそれらの『スマートスピーカー』のムーブメントから、一足も二足も遅れをとってきている。AppleのAIの『Siri』もその要因のひとつだ。

AppleのAIである『Apple Inteligence』も英語圏ではある程度の評価がえられそうだが、日本語に関してはあまり期待できそうでない。

■『AIスマートスピーカー』の延長ではなさそうだ


筆者は『スマートスピーカー』と呼ばれる市場カテゴリーに『ディスプレイ』が付随してくることによって、限りなく『次世代型テレビ』のデバイスに近づいてきたと日々、感じている。

現在の『テレビモニタ』と『HDMIケーブル』で繋がれた『ネットデバイス』は、あくまでもテレビモニタを活用した『コンテンツ視聴』がメインであるが、確実に『放送と編成型』の『テレビ』を凌駕してきている。
『TVer』でも、『パリ五輪』のマイナースポーツもダイジェストでコンパクトに知ることができた。テレビで競技を録画しても視聴する時間は膨大にかかるが、ほんの数分で視聴することができた。これは非常に『タイパ』の良い体験だ。

これらがもっと、『スマートデバイス』として、家中のディスプレイやスピーカーをコントロールできればと願うばかりだ。

ある程度、『ノーコード』でカスタマイズできるので、『OKグーグル、おはよう』と
呼びかければ、今日の予定と天気とニュースを読み上げてくれたりするのは、日々のルーティーンとして活用している。
料理していても『アレクサ、15分後にアラーム』とすれば、調理時間の終わりを教えてくれる。他にも、『◯◯◯は、英語でなんという?』ような質問にも答えてくれる。これらに自分の好みや趣味、などをもっと学習させることによって、『スマートな家庭教師』になる未来は見えている。
今までは、単なる人間のその場の欲求に答えるスマートさしか持ち合わせていなかったが、これからは、そこに『AI』のレイヤーがかさなってきた。

たとえば、3ヶ月後に資格試験を受験するとするならば、それに対しての取り組みのスケジュールをAIが提案し、それを認めると、週間スケジュールに落としこまれ、家の中の空き時間に試験の問題が提供されたり、進捗の確認として、合格率などが表示されるなどをして、人間の行動の可視化やモチベーション維持など、ダラダラしている時間においての最適な過ごし方の提案など、家庭教師や親の変わりを勉めてくれれば、塾に通う必然性もなくなってきたりする。

そんな進化を予期してはいたが、ロボティクスで、腕がつくというのは驚きだ。

■ホームロボティクスのマネージメントデバイスの可能性?

記事には、『ディスプレイを動かすアクチエーターのような機能』と紹介されているが、実際には、そんな機能はほんの一部でよいと思う。

むしろ、ルンバのような掃除ロボットや、自動での鍵ロックや、空調との連携、最適な電気料金となるような、複雑なマネジメントができる、遠隔ロボットデバイスは欲しい。

遠隔地の離れたところでも、ホームセキュリティなどの機能は現在でもあるが、クーラーやWi-Fiのリスタートができても、元のブレーカーボックスのオンオフまではできないので、台風で、停電のような時には対応が難しい。

物理的なスイッチが停電などでブレーカーが落ちた時などに、WiFiルーターなどもふくめて、ロボットアームが再起動してくれ、カメラで管理できるようなIoTデバイスで、物理的に動いてくれるのであれば、スマートスピーカーが『ホームロボティクス』へと進化してくれそうに思う。

『テーブルトップ・ロボティクス技術』への期待

少なくともAppleのエンジニアが数百人単位で稼働してきた『AppleCar』のようなプロジェクトが誕生したというニュースにまた、数年後の製品化が楽しみになってきている。
Appleは需要が探ってから供給をするタイプではなく、理想の需要を見越して供給をする会社だ。どんな理想の需要をイメージしているのかも気になる。

ITジャーナリスト・ソーシャルメディアコンサルタント

1961年神戸市生まれ。ワインのマーケティング業を経て、コンピュータ雑誌の出版とDTP普及に携わる。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送「KandaNewsNetwork」を運営開始。世界全体を取材対象に駆け回る。ITに関わるSNS、経済、ファイナンスなども取材対象。早稲田大学大学院、関西大学総合情報学部、サイバー大学で非常勤講師を歴任。著書に『Web2.0でビジネスが変わる』『YouTube革命』『Twiter革命』『Web3.0型社会』等。2020年よりクアラルンプールから沖縄県やんばるへ移住。メディア出演、コンサル、取材、執筆、書評の依頼 などは0980-59-5058まで

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