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最新版PS5「CFI-1200」は消費電力・発熱・静音性すべて改善。転売屋から旧モデルを買っちゃダメ

多根清史アニメライター/ゲームライター
(写真:イメージマート)

つい数日前、アマゾンから「PlayStation 5がメーカー生産終了」したかのような印象を与えるメールを、複数の人が受け取ったことがTwitter等でバズっていました。

より正確には「PlayStation 5(CFI-1100A01)」つまり直前の改訂版が生産終了になっただけであり、購入の招待リクエストを受けたい人は改めて最新版(CFI-1200A01)の再登録をしてくれというオチでした。というか、まだ招待制なのか……。

ここで注目が集まったのが、「PS5本体にはバージョン違いがある」ということです。

どのお店でもPS5の品不足が続いている原因の1つと思しき(ソニーが買い占められないほど国内出荷していないことも大きな要因でしょうけど)転売屋は、古いバージョンを抱えているはず。もしも新たな改訂版がいろいろな面で旧型より優れているのであれば、あえて転売屋から買う必要は薄い。少し安めなら……とも思えますが、このさい転売屋に資金を与えず滅ぼせば、今後の買い占めも防げる可能性も高まるでしょう。

とはいえ、しばしば改訂版は「メリットの薄い、単なるコストダウン版」であることも珍しくありません。たとえば初期PS3はPS2のソフトも遊べましたが、後の改訂版ではチップが削られ、互換性がなくなっていました。

だったらPS5本体のバージョンはいくつあり、それぞれどう違うのか?ざっくり見ていくことにしましょう。

初代(CFI-1000番台)と2代目(CFI-1100番台)の違い

最初の改訂版、つまり2代目(日本版はCFI-1100)が登場したのは、2021年8月でした。主な変更点は2つで、1つはベースのネジがドライバー不要で手回しできること。もう1つは約300g軽くなっていることです。

なぜ、軽くなったのか? それは熱冷却のヒートシンクが小型化されているからです。YouTuberのAustin Evans氏が検証したところ、外部から計測した新旧モデルの温度差は、新型が3度ほど上回っていました。

PS5で使われるNVMe SSDストレージは「転送速度が5500MB/以上」という推奨要件を満たすために発熱が大きくなりやすく、そのためユーザーが自前で取り付ける時にも放熱用のヒートシンクが必須とされているほど

それでも、おそらくヒートシンク小型化により量産性とコストダウンが重視されつつ、3度ほどなら問題ないと判断されたのかもしれません。

2代目と最新版(CFI-1200番台)

2つ目の改訂版「CFI-1200」シリーズは、今年9月からPS5が値上げされるにあたって投入されたモデルです。こちらは先に出荷されたオーストラリア版を、やはりAustin Evans氏が入手して検証しています。

その結果、最新モデルは前モデルより約300g、初代より約600g軽いということに。ほか、ざっと次のような変化(全般的な改善と言っていいでしょう)が確認されています。

  • 消費電力:CFI-1000が218W、CFI-1100が229W、最新モデルはわずか201W
  • 最高温度:CFI-1000は53以下、モデル1100は63以上に対して、CFI-1200は約53
  • 騒音レベル:48dB(初代)、43dB(1100)、45dB(1200)

これらは厳密に条件を整えたわけではなく、場合によって違う結果が出ることもあるはずですが、おおむねの目安と思ってください。

また、最新モデルは内部設計も大幅に見直されています。たとえば冷却ファンの形が旧モデルと異なっていたり、以前はなかったヒートパイプが追加されたり、メイン基板が短く軽くなっているなど。

さらに半導体業界専門メディアAngstronomicsが調べたところ、PS5の心臓部分であるSoC(1つのチップに様々な機能を統合したもの)も新型になっていることが分かりました。

手短にまとめると、以前のSoCは半導体大手TSMCが7nmプロセス技術で作っていましたが、新型は同社の「N6」、つまり6nm技術で作られているとのこと。ここでいう「6nm」「7nm」とは半導体の回路線幅のことで、一般的には小さくなるほど消費電力も(発熱とともに)小さくなり、処理能力もアップする傾向があります。

おかげで最新型は消費電力も減り、したがって温度も下がり、それに伴い冷却ファンも小型化できてブン回さなくても良くなり、軽量化や静音化にも貢献しているようです。

しかも新SoCのダイサイズは小さくなり、よって1枚のウェハー(シリコン製の薄い板)から生産できるチップの取れ高も増えるはず。

Image:Angstronomics

Angstronomicsは、新型SoCは旧型よりも約2割増しのチップが作れると計算していました。このことは、ひいては「PS5の増産」にも繋がる可能性があると思われます。

結論を言うと、最新型のCFI-1200番台は旧モデルより重さが軽く、消費電力も少なく、熱くなりにくく、静かになっているというわけです。

今この時点で、古いCFI-1000やCFI-1100モデルを買う理由はどこにもありません。型番はハコの右下に印字されていますので、より良きPS5ゲームライフと転売屋の撲滅を同時進行させたいところです。

アニメライター/ゲームライター

京都大学法学部大学院修士課程卒。著書に『宇宙政治の政治経済学』(宝島社)、『ガンダムと日本人』(文春新書)、『教養としてのゲーム史』(ちくま新書)、『PS3はなぜ失敗したのか』(晋遊舎)、共著に『超クソゲー2』『超アーケード』『超ファミコン』『PCエンジン大全』(以上、太田出版)、『ゲーム制作 現場の新戦略 企画と運営のノウハウ』(MdN)など。現在はGadget GateやGet Navi Web、TechnoEdgeで記事を執筆中。

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