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JR東、春改正で廃止「はちおうじ」「おうめ」はどうすべきだったか? 朝5時台甲府発「かいじ」に期待

小林拓矢フリーライター
「はちおうじ」「おうめ」に使用されるE353系(写真:イメージマート)

 先日、JR東日本は2025年3月15日のダイヤ改正について発表した。中央線グリーン車の営業開始が大々的に告知された中で、ひっそりと特急「はちおうじ」「おうめ」の廃止が記されていた。

「はちおうじ」「おうめ」は、通勤ライナー列車「中央ライナー」「青梅ライナー」を2019年3月のダイヤ改正で特急に格上げしたものだった。現在は下り「はちおうじ」は定期3本・臨時1本、下り「おうめ」は定期2本、上り「はちおうじ」は定期2本、上り「おうめ」は定期1本が運行されている。いずれも土休日運休である。

「はちおうじ」「おうめ」は、中央本線特急の全席指定席化にともない、短距離での着席サービス強化を目的として営業を開始した列車だった。

登場は華々しかった

 現在は本数少なめな「はちおうじ」「おうめ」だけど、通勤ライナー列車から格上げされたときは注目を浴びていた。

「はちおうじ」は下りが5本もあり、上りは2本だった。「おうめ」は下り・上り各1本だった。「はちおうじ」は本数を減らし一部臨時化となり、「おうめ」は下りを増やすなどして、現状のダイヤがある。

 新型車両E353系を使用し、短距離でも快適に移動できることを売りにしていた列車だった。

 ちなみに、特急列車の間合い運用で運行されていた「中央ライナー」「青梅ライナー」も本数はほぼ同等だった。ライナー時代から混雑が激しく、ライナー券では定員制ではなく座席指定があり、チケットレス予約も可能だった。

「はちおうじ」「おうめ」になってからも利用者がそれなりにいる状況という。

 しかし、中央線グリーン車導入により「はちおうじ」「おうめ」は廃止になる。

 ひっそりとしたお知らせしかなかった。

「かいじ」早朝甲府発の正体は?

 いっぽうで、3月のダイヤ改正では平日早朝に臨時特急「かいじ」を運転開始すると発表している。甲府を朝5時40分に発車し、石和温泉・山梨市・塩山・大月に停車し、八王子には6時47分につく。立川・新宿と停車、終点の東京には7時45分に到着する。

甲府駅からの特急利用者は多い
甲府駅からの特急利用者は多い写真:イメージマート

 列車の時間設定を見て、「あれっ?」と思った人も多いのではないだろうか。八王子~東京間は、「はちおうじ」4号のダイヤをほぼ踏襲しているのである。

「はちおうじ」4号のダイヤを甲府まで引っ張ってきて、早朝の通勤向け特急に変更したというものである。

 ここに、「はちおうじ」の本来あるべきだった姿が見えるのではないだろうか。

 甲府方面から都内に通いたい、という需要は多い。テレワーク可能な現在、山梨県内に暮らし都内に週に1回か2回通えばいいという人もいる。また都心で朝から用事があって早朝の特急がほしい、という山梨県民の要望は長いことあった。

 2022年3月のダイヤ改正で、8時42分新宿着の特急「かいじ」が設定された。2023年3月改正で新宿着8時42分は変わらないものの、東京まで延伸、8時57分着となった。

 青梅から延伸しても奥多摩までの「おうめ」は仕方ないにしても、「はちおうじ」の一部を「かいじ」にするということはもっと検討されてもよかったのではないか。

 実際に、上り「はちおうじ」のダイヤを使って早朝の「かいじ」にするのはかなり歓迎されている。

「はちおうじ」のダイヤを使った夕方時間帯の「かいじ」というのもあってもいいのでないだろうか?

 それとも、「はちおうじ」「おうめ」のダイヤは、中央特快や青梅特快に置き換えられるのか。ちょっともったいない。

※本年のYahoo!ニュースエキスパートでの記事発表は今回をもって終了します。次回は来年の1月1日朝に発表します。ことしもありがとうございました。よいお年を。

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ありがとうございます。
フリーライター

1979年山梨県甲府市生まれ。早稲田大学教育学部社会科社会科学専修卒。鉄道関連では「東洋経済オンライン」「マイナビニュース」などに執筆。単著に『関東の私鉄沿線格差』(KAWADE夢新書)、『JR中央本線 知らなかった凄い話』(KAWADE夢文庫)、『早大を出た僕が入った3つの企業は、すべてブラックでした』(講談社)。共著に『関西の鉄道 関東の鉄道 勝ちはどっち?』(新田浩之氏との共著、KAWADE夢文庫)、首都圏鉄道路線研究会『沿線格差』『駅格差』(SB新書)など。鉄道以外では時事社会メディア関連を執筆。ニュース時事能力検定1級。

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