子供達の「ネットの長時間利用」と「遅寝遅起き」の関係を探る
ネット利用時間が伸びると起床時間も遅くなる子供が増加
1日は24時間しか無い。何かに注力する時間が長くなれば、他の時間を削る必要がある。子供達のインターネットへの注力が増すに連れ、保護者が心配するのは夜更かしや朝寝坊。その実情を少年教育振興機構が2014年6月に発表した「青少年の体験活動等に関する実態調査」報告書の各種公開データを基に確認していく。
次に示すのは調査対象母集団(2013年1月~3月、小学校は1年から6年まで各100校ずつ、中学校は2年生対象に150校、高等学校は2年生対象に150校。有効回答数は1万7900件)の平日における、一日あたりのインターネット利用時間別・普段起きる時間の区分を示したもの。青系統ほど早い区分。
利用時間が長い子供ほど、起床時間は遅くなる傾向にある。1時間未満の場合はインターネットを(平日に)していない場合とほとんど変わらない。一方、1時間を超えると時間が長くなればなるほど、起床時間が遅くなる。3時間以上使っている子供は約4割が午前7時以降に起床することになる。
これを中央値を元に概算平均値を算出した結果が次のグラフ。
今グラフは相関関係を表したものであり、因果関係を示したものではない。実態として、平日にインターネットを使う時間が長い子供ほど、起きる時間が遅くなる傾向があることを呈したのみ。とはいえ後述する就寝時間と合わせて考えると、インターネットの使い過ぎが夜更かし、そして朝寝坊的な生活様式の起因となり、実情として表れてしまう状況は、容易に想像が出来る。もちろん朝寝坊が出来る生活環境下にあるからこそ、夜更かししてインターネットを長時間使っているパターンもありうる。
ネット利用時間が長いほど就寝時間が遅くなる子供も増える
就寝時間も起床時間同様、平日におけるインターネットの利用時間別に、就寝時間を確認していく。
就寝時間では全く利用しない人と1時間未満の利用者との間にも、それなりの差が出る。一方で利用時間が長い人ほど就寝時間が遅くなるのは起床時間と変わらない。物理的に時間を圧縮できない以上、インターネットを利用する時間が伸びるほど、その後に続く就寝時間が遅くなるのは道理ではある。
概算平均時間は1時間未満では午後10時18分、これが3時間以上になると午後11時26分となる。利用時間の差と就寝時間の差に開きがあるのは、長時間利用者は就寝までの他の時間も削り、インターネット利用に投じているからである。
今件データだけを見ると、「平日からインターネットを利用すればするほど遅寝遅起きとなる。多分に睡眠時間も削られる」との結果が導き出せる、ように見える。しかし繰り返しになるが一連のデータは相関関係を示したもの。因果関係の一因であることは想像できるが、完全な因果関係までを立証するものではない。
例えば今調査の別の複数項目で、その項目動向と就寝・起床時間を比較すると、同じような傾向が見受けられる。例えば塾通いでは、塾に通う頻度が高い人ほど、就寝時間は遅く、起床時間も遅くなる。あくまでもネットの長時間利用と遅寝遅起きは因果関係と思われる一要因としての認識に留めておくべきだろう。
もっとも、子供自身がインターネットの長時間利用により、夜更かしをしてしまうという自覚はある。
夜更かしの自覚を有する状況は避けるよう、保護者として注意をうながすことが求められよう。
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