2度目の緊急事態宣言に意味を持たせ、1ヶ月で終わらせるためには
1月7日、2度目となる緊急事態宣言が発令されました。
現在の都内の医療機関の状況を踏まえて、2度目の緊急事態宣言に意味を持たせ、1ヶ月で終わらせるために私たちにできることは何でしょうか。
東京都の医療機関の状況
日本国内における第3波は、過去の流行とは比べ物にならないほどの感染者が報告されており、12月31日に1日当たり1300人を超えてからはタガが外れたかのように、この3日間は連続して2000人以上の感染者が報告されています。
これにより、東京都内の入院患者数も重症患者数も過去最大となっており、医療機関のキャパシティを超えている状況です。
都内では12月中旬頃からすでに入院調整に難航する事例が出ていましたが、いよいよ調整できずに入院先が決まらない感染者が急増しています。
この中には、65歳以上の高齢者や基礎疾患のある患者など、重症化リスクが高く本来速やかに入院が必要な方も多く含まれています。
現在、3000人以上の方が「入院・療養等調整中」に分類されているという異常な状況が続いています。
本来、発症してからすぐに治療を開始すれば重症化を防げるかもしれないような方も、入院先が見つからず適切な治療が受けられていません。
こうした医療体制の逼迫を受けて、関東一都三県で1月8日より二度目となる緊急事態宣言が施行されました。
飲食店の営業時間短縮だけで感染者は減るのか?
今回の緊急事態宣言は飲食店の営業時間短縮が大きな柱となっています。
これまでに明らかになっているように、
・屋内で
・マスクを外した状態で
・近い距離で
・飛沫が飛ぶ会話をする
という場面で感染は起こっています。
実際に、感染が起こっているのは多くが会食の場であり、「感染経路不明」とされている方でも入院してよくよく話を聞いてみると「発症の5日くらい前に会食をした」という病歴のある方が非常に多いです。
そういう意味で、飲食店での営業時間短縮は、感染者を減らす効果はある程度は期待できると考えます。
しかし、現在医療現場で問題になっているのは年末年始での「ホームパーティー」「親戚の集まり」の飲食クラスターであり、飲食店以外での会食の機会についても自粛を強く促す必要があります。
一緒に住んでいる家族以外の人との会食は人数が何人であろうと控えるようにしましょう。
成人式は延期または中止にすべき
また、懸念されるのは、成人式後に新成人が集まって会食をすることです。
現在、感染者のうち最も多いのは20代です。
また若い世代では感染しても症状が出ない無症候性感染者の割合が高くなります。
現在の流行状況から考えると、かつてないほど無症候性感染者は増えていると考えられますので、自覚症状がないからと言って、成人式後に集まって会食をすることでクラスターが発生するリスクは非常に高いでしょう。
私が20歳だったらたとえ自治体から「式後の会食はやめてください」と言われたとしても、素直に従うとは思えません(ちなみに私はかの有名な北九州市の成人式に参加しました)。
私のように思春期をこじらせた新成人は今どき多くないと思いますが、やはり同級生が久々に集まれば、成人式の後に同窓会をしたくなりますし、成人したのであればお酒も飲みたくなるのではないでしょうか。
今はなるべく若者たちが集まる機会を減らすために成人式を延期または中止すべき状況と考えます。
横浜市などは現在も開催をする予定のようですが、2週間後の横浜市の医療従事者の皆さんのことが心配になります。
緊急事態宣言を終わらせることができるかは私たち自身の努力にかかっている
会食の機会だけを減らせば良いというわけではありません。
会食などの3密の場面を回避するためには、不要不急の外出・移動の自粛、行政機関や大企業を中心としたテレワーク(極力7割)の徹底、イベント開催要件の強化(収容率50%など)、大学や職場等における飲み会の自粛、飲食テイクアウトの推奨、大学等におけるクラブ活動での感染防止策の徹底などを合わせて行うことが重要です。
新宿区の駅周辺を見てみると、1回目の緊急事態宣言のときほど今回は人出が減っていないようです。
このままでは1回目のときほどの効果は期待できないかもしれません。
現時点では緊急事態宣言の期間は1ヶ月と予定されていますが、感染者が全く減っていないまま1ヶ月が経過してしまった場合に解除されるとは思えません。
場合によっては、特措法改正の上でより強制力を持った緊急事態宣言が発令される可能性まで考慮しておかなければなりません。
緊急事態宣言は、市民一人ひとりの痛みを伴うものですが、緊急事態宣言に意味を持たせ、1ヶ月で終わらせるためには、一人ひとりが覚悟を決めて徹底した感染対策と自粛が必要です。