【大人のADHD(注意欠如・多動症)の特徴】を現役プロ心理カウンセラーが解説します。
こんにちは。
精神医学と性格心理学に詳しい
心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。
今日は、「大人のADHDの特徴」というテーマでお話したいと思います。
ADHDとは、注意欠如・多動症という意味です。「不注意」と「多動・衝動性」を主な特徴とする発達障害の概念のひとつです。ADHDの有病率は報告によって差がありますが、学齢期の子どもの3~7%程度と考えられています。
そう考えると、決して少なくない数ですね。20人に1人ぐらい、クラスに1人か2人は、ADHDの子がいる…という計算になります。
ADHDを持つ子どもは、家庭・学校生活で様々な困難をきたすため、環境や行動への介入や薬物療法が試みられています。ADHDの治療は、人格形成の途上にある子どもの心の発達を支援する上でとても重要です。
さて、昨今は、大人になってから、「自分はADHDだった」と気付くケースが増えてきています。大人のADHDは、次の3種類です。
ひとつめは、不注意優勢型です。
ケアレスミスが多い、約束を忘れてしまう、物をよく失くすといった、不注意を起因とする症状が主に現れるタイプです。
今言ったミスはADHDでない方でも起こりうるものですが、ADHDではこれらのミスが年齢に対して不相応に生じ、日常生活・社会生活に支障をきたします。これらの症状は決して本人のやる気がない、怠けているというわけではなく、脳の機能発達の偏りから起こるものなのです。
ふたつめは、多動・衝動性優勢型です。
じっとすることができない、失言をしてしまうなど、多動性や衝動性から起こる症状が主に現れるタイプです。
ADHDの多動性というと、じっと椅子に座っていられないというイメージがありますが、大人のADHDでは、離席してしまうほどじっとできない方は多くありません。大人のADHDで多動性が現れる場合は、何となくそわそわしている、体を小刻みに揺らす、といった形で現れることが多いです。
みっつめは、混合型です。
混合型とは、今言った不注意・多動性・衝動性が、同程度に目立つタイプを指します。
続いて、
大人のADHDは、子どもと違って、不注意優勢型が多いです。
その理由は、いろいろな説がありますが、主には次の2点であると考えられます。
ひとつめは、不注意優勢型は子どもの頃は問題視されにくく、大人になってから受診するためです。大人になってから、ADHDになるということはありません。ADHDは発達障害のため、ADHD傾向は子どもの頃から持っています。
しかし、幼少時から不注意優勢型のADHDである場合は、多動・衝動型のADHDより学校生活で問題視されにくく、学業や学校生活に支障がなければ、「少しうっかりしているけれど普通の子」として見過ごされてしまうことが多いのです。保護者や先生、友人など周囲のサポートにより不注意症状がカバーされ、症状がみえにくくなっていることが多いのです。
しかしながら、社会に出ると、自身でスケジュールやタスクを把握し、ミスなく確実に遂行する能力が求められます。そこではじめて、ADHDの不注意症状が顕在化して、「自分はADHDかもしれない」と受診するパターンが多いと考えられます。
次に、大人になると多動の症状が減るという傾向があります。
詳細な理由は明らかではないものの、子どもの頃は混合型であったが、大人になるにつれて多動の症状が落ち着き、結果として不注意の症状が目立つことが多いです。
大人のADHDの特徴は、具体的に次のような行動や状態となって現れます。
1.ミスが多い、同じミスを繰り返す。
2.スケジュールを管理できない。
3.タスクを整理できない、順序立てて行えない。
4.締め切りを守ることができない。
5.忘れ物や失くし物が多い。
6.仕事や作業に集中できない。
7.失言をしてしまう。
8.衝動的に動いてしまう。
9.そわそわしている、体を小刻みに揺らす。
等などです。
症状の出方は、個人差や環境によって異なります。
ここで強調してお伝えしておきたいのですが、ADHDの症状は、決して本人の努力不足や怠けではありません。本人は、「次は失敗しないようにしよう」と自分なりに対策を試みているにもかかわらず、なかなか状況が改善されないのです。それがADHDの特徴です。
というわけで、今日は、「大人のADHDの特徴」というテーマで、お話させていただきました。
今日も最後までお読みくださって、どうもありがとうございます。
心から感謝申し上げます。
この記事を書いた人は、心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。