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早くもオフシーズンは波乱模様?!バリー・スポーツが11チームの来季放映権の見直しを発表

菊地慶剛スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師
今シーズンは12チームの中継を担当していたバリー・スポーツ(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

【熱戦が続く一方でオフシーズンがスタート】

 いよいよポストシーズンが開幕し、各地で熱戦が繰り広げられているが、その一方で、ポストシーズン進出を逃したチームはすでにオフシーズンに突入し、来シーズンに向け着実に準備を進めている。

 レギュラーシーズンが終了した翌日には、カージナルスとジャイアンツが今オフの補強プランを先導することになる編成担当責任者を入れ替えることを発表し、マーリンズはスキップ・シューメイカー監督の退任に伴い、前コーチ陣を解任するとの報道がなされている。

 この3チームのみならず、今後ポストシーズンを敗退したチームも加わり、ワールドシリーズ終了翌日からスタートする本格的なオフシーズンに備え、準備作業が進められることになる。

【バリー・スポーツが11チームの来季放映権の見直しを発表】

 そんな状況下で、多くのチームのオフ補強策に大きな影響を及ぼすことになりそうなニュースが飛び込んできた。

 ESPNなどの米主要メディアが報じたところによると、今シーズンは12チームのTV中継を担当してきた「バリー・スポーツ」の親会社である「ダイヤモンド・スポーツ」が、ブレーブスを除く11チームの来シーズン放映権の見直しを明らかにしたのだ。

 ダイヤモンド・スポーツといえば、昨年3月に破産申請手続き(いわゆる「チャプター11」)を行い、球界に大きな衝撃を与えた。それ以降、契約延長に合意できなかったパドレス、ダイヤモンドバックス、ロッキーズの中継から撤退し、MLBが中継を引き継いでいた。

 そして今月2日に開催された破産裁判所の公聴会において、ダイヤモンド・スポーツの担当弁護士が今後の再建プランを発表し、今シーズンで契約が終了するガーディアンズ、ブルワーズ、ツインズ、レンジャーズの4チームとの契約延長を見送るとともに、まだ契約が残るタイガース、レイズとの契約を破棄することを明らかにした。

 さらにチームとの合弁企業というかたちで中継を行っていたレッズ、ロイヤルズ、エンジェルス、マーリンズ、カージナルスの5チームとの契約内容の見直しを図っていく方針を示した。

 これにより、ダイヤモンド・スポーツとの契約が従来通り履行されるのはブレーブスのみとなるわけだ。

【唐突な再建プラン発表に戸惑うMLB】

 この再建プランに衝撃を受けたのが、公聴会に参加していたMLB側だ。担当弁護士は同プランを知ったのは公聴会が始まる2時間前だったとし、「そのプランの内容はまったく知らなかったし、それを検証する時間もないまま、今裁判所の前でコメントを求められている」という慌てぶりだった。

 とりあえずダイヤモンド・スポーツは、該当する11チームに対して再建プランをすでに送付していることを明らかにするとともに、交渉の扉を閉じることなく新たな放映権契約の妥結を模索していく方針も示している。

 仮に交渉が決裂するようなことになれば、パドレスら3チームのようにMLBが引き継ぐ可能性が極めて高くなるが、最悪の場合全11チームの放映権料をMLBが肩代わりしなければならなくなるわけだ。

【人気チームとの経済格差がさらに拡大する危険性も】

 逆にダイヤモンド・スポーツと新たな契約に合意できたとしても、彼らは経費削減を目指しているのだから、11チームが過去の契約レベルの放映権料を得るのは間違いなく不可能だ。

 それはつまり、各チームの最大収入源である放映権の大幅削減を意味するものであり、確実に今オフの補強策に大きな影響を及ぼすことになる。また、安定的な放映権料を確保しているヤンキース、ドジャース、メッツ、カブスらとの経済格差がさらに広がることになりかねない。

 ポストシーズンで盛り上がる一方で、MLBはとんでもない難題を抱え込んでしまったのかもしれない。

スポーツライター/近畿大学・大阪国際大学非常勤講師

1993年から米国を拠点にライター活動を開始。95年の野茂投手のドジャース入りで本格的なスポーツ取材を始め、20年以上に渡り米国の4大プロスポーツをはじめ様々な競技のスポーツ取材を経験する。また取材を通じて多くの一流アスリートと交流しながらスポーツが持つ魅力、可能性を認識し、社会におけるスポーツが果たすべき役割を研究テーマにする。2017年から日本に拠点を移し取材活動を続ける傍ら、非常勤講師として近畿大学で教壇に立ち大学アスリートを対象にスポーツについて論じる。在米中は取材や個人旅行で全50州に足を運び、各地事情にも精通している。

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