1年間で218万部減…新聞の発行部数動向
日本の新聞はどれほど発行されているのか。日本新聞協会の公開資料を基に発行部数などを確認する。
まずは全体値。新聞そのものの発行部数の推移グラフを作成する。ちなみに朝刊と夕刊のセット紙は双方で「1部」として換算している。
割合にしてはさほど大きなものではないが、前年2021年からさらに部数を減らしているのが確認できる。具体的には減少部数・比率は(1年間で)218.1万部・6.60%ほど。2021年の前年比はマイナス5.88%だったので、下げ度合いは悪化している。
減少率著しいスポーツ紙のみで計算すると、直近1年の減少部数は21.8万部・9.2%ほど。前年がマイナス10.1%であったことから、減少スピードは前年からややおとなしくなった感はある。
次に各年の住民基本台帳を基に世帯数を割り出し、新聞発行部数と比して「1世帯あたりの新聞部数」を算出したグラフを作成する。
かつては「1世帯あたりの部数が1.0部を割り込んでしまった」との表現で危機的状況を解説したが、それから回復する兆しはなく、むしろ減少が定例化している。直近となる2022年では0.53部。およそ2世帯に1世帯が新聞を取っている計算。これは部数の減少とともに、核家族化・世帯構造の変化によって、世帯数そのものが増加しているのも一因。その上、購入世帯数そのものが減っている。結果として「1世帯あたりの部数」が減って当然の話ではある。
高齢世帯の増加により、一見すると旧来メディアの利用時間・利用者数は増えそうに思える。しかし実際には、テレビは増加する傾向を見せるものの、新聞は(減少幅の違いこそあれ)全世代で「新聞離れ」が起きているのが確認できる。これでは新聞購読者そのものが減るのも致し方ない。
2011年、さらには2012年は減少の原因の多分が震災にあると考えることもできるが、それ以降は影響はほぼ消えていると考えるのが道理。2013年以降の減少ぶりは、中長期的、そして全体としての下落傾向によるものと考えて間違いはない。2021年以降の減少ぶりは新型コロナウイルスの流行によるところが少なからずあるのだろうが、それでも減少した事実は覆せない。
今後も新聞には辛く、厳しい時代が続くに違いない。
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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
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