駅弁調製元(店)が立ち上げる新ブランドが続々
コロナ騒ぎの2年間。旅に出る人はまだまだ少なく、じっと我慢の日々が続く駅弁業界だが、アクションを起こす駅弁調製元があるのは明るいニュースだ。
駅弁が売れないなら他の商品を販売しよう、と新商品を開発した調製元がいくつかある。
そのひとつは茨城県大洗駅の「おべんとうの万年屋」。「三浜たこめし」や「スペシャル日の丸弁当」などの人気駅弁があるが、この状況を打破したいと新ブランド「糀屋の和漢膳」を立ち上げた。和漢膳とは中国薬膳を日本人の体質や好みに合うよう和風・洋風料理にアレンジしたもので、今回用意されたのは12種類の和漢膳スープ。参鶏湯(サムゲタン)、エビのビスク風スープ、じゃがいもの甘酒ポタージュ、和漢膳火鍋、などなどどのスープも食べてみたいアレンジばかり。ナツメやもち麦、白黒キクラゲなどの和漢膳食材に自家製糀でつくった甘酒、塩糀、しょうゆ糀を入れた優しい味わいで、保存料、化学調味料、合成着色料無添加。具材もたっぷり入り、スープとはいうもののメイン料理にもなるボリューム感。盛り付けると美しく、気分も上がってくる。ホームページから取り寄せ可能。
次に兵庫県姫路駅の「まねき食品」が立ち上げたオイスターラボ。瀬戸内産のカキを使った冷凍惣菜を紹介する新ブランドで、こちらではグラタンやピザ、パスタなどの商品を開発。ピザ5枚入り、グラタン6食入りなどのほか、5つの味が一度に楽しめる「オイスターラボ欲張りセット」を販売している。
駅弁調製元が洋食を手がけることには驚いたが、まずは食べてみてほしい。ぷっくりしたカキは濃厚な味わいと芳醇な磯の香りがして、チーズやクリームとよく合う。それにカキの量に目を見張る。パラパラ、ではなくどっさり! ピザやグラタンの上にどっさりのっているのだ。全国には数々のオイスターレストランがあるが、どこにも負けてない味と量。駅弁調製元であることを忘れてしまいそうだ。
三重県松阪駅「駅弁のあら竹」の「牛肉のしぐれ煮」「牛肉のそぼろ煮」や、静岡県伊東駅「祇園」の今年で発売10周年を迎える「ぎおんのからあげ」など、コロナ以前からの人気惣菜も頑張っている。駅弁調製元から発信されるうまいもんは、駅弁だけにとどまらない。これからどんな”駅弁調製元発の新名物”が誕生してくるか、楽しみである。