「流行語や新しい言葉の意味が分からないことがある」55.0%…言葉の悩みあれこれ
他人との意思疎通の手段として欠かせない言葉。しかしながら文化庁が2017年9月に発表した「国語に関する世論調査」(※)の結果によると、55.0%もの人が「流行語や新しい言葉の意味が分からないことがある」と認識していることが分かった。
次に示すのは言葉そのものや言葉を使う場面において、日ごろから困るケースがあること(一部選択肢では多分にあること)について、同意できるものを選択してもらった結果。例えば「流行語や新しい言葉の意味が分からないことがある」は55.5%とあるので、調査対象母集団の過半数は、流行語や新しい言葉と接した際に、意味が分からないと感じた経験があることになる。単純に一度でも経験があるではなく、「困っていることや気になっていること」と説明にあるため、気に留める以上の経験をしていると考えた方が妥当。
最多回答率の選択肢は「流行語や新しい言葉の意味が分からないことがある」の55.5%、ほぼ同率で「外来語・外国語の意味が分からないことがある」が55.0%。本質面としてはほぼ同じ内容で、自分の知らない言葉に接する機会があり、困ったり気になった経験を少なからず有していることになる(もとより言葉の意味そのものを知らなければ、その言葉が流行語・新しい言葉なのか、単なる外来語・外国語なのかの判断も付き難い)。
言葉の流行りすたりは常に生じているもので、昔も今も同じようなものではないかとも考えてしまう。しかし今調査項目は過去に2010年度、2006年度、2003年度、1999年度にも実施されており、その結果と比べると有意に増加を示している。
インターネットの普及浸透に伴い、情報文化の変化スビートが加速化すると共に、情報の取得発信領域も拡大していることから、それに追いつけない感覚を覚える人が増えているのかもしれない。
次いで多いのは「辞書を引かなければ書けない漢字がたくさんある」「歳の離れた人たちが使っている言葉の意味が分からない」で3割台。前者は経年変化でもあまり大きな変化は無いが、後者は前回調査の2010年度分から8.6%ポイントも増加している。元々いわゆる世代間格差は存在するが、情報文化の変化スビートの加速化に伴い、そのギャップが拡大し、感じる人が多くなったと考えれば道理は通る。
さらに「正しい文章の書き方がよく分からない」「人に対する話し方が上手ではない」「読めない漢字にたくさん出会う」などが続いているが、これらは過去もほぼ同率を維持しており、特段問題視しなければならないほどのものでもない(無論、解消した方がよい問題には違いないが)。あえて言えば「人に対する話し方が上手でない」の回答率が少しずつだが上昇しているのが気になるところ。
今件調査項目につき、直近年度分を上位陣に限り、回答者の年齢回答別に仕切り分けして確認した結果が次のグラフ。
「辞書を引かなければ書けない漢字がたくさんある」は若年層でもやや高めの値を示しているが、年齢階層間の言葉のギャップや、自分が聞き慣れない言葉に遭遇する機会が多々生じている経験に焦り、戸惑いを感じているのはむしろ高齢層の方が多い実情が分かる。
もっとも、そのような場面に遭遇した場合、いかなる対応をするかは個人個人の思惑、行動姿勢により多種多様。謙虚にその意味を聞く、調べるのか、それとも耳をふさいだり無視を決め込んだり、さらには「わけの分からないことを言うな」と逆上するのか。ズバリそのものを示す設問は開示されていないが、類似している、対応を推測できる設問は確認できる。
色々と想像できる、納得できる結果には違いない。
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※国語に関する世論調査
文化庁が毎年実施している調査で、直近分は2017年2月から3月にかけて日本全国の16歳以上の男女に対して個別面接方式にて実施。調査対象総数は3566人、有効回収数は2015人。対象抽出方法などは未公開。
(注)本文中の各グラフは特記事項の無い限り、記述されている資料を基に筆者が作成したものです。