中型・大型の物件が上昇傾向…賃貸住宅の成約家賃動向をさぐる(2022年11月発表版)
賃貸住宅利用者だけでなく、利用をしようと考えている人にとって、家賃の動向は気になるところ。今回は賃貸住宅管理会社が管理する物件で賃貸契約が成約した際の家賃の動向について、賃貸住宅の管理会社による協会「日本賃貸住宅管理協会」の調査「賃貸住宅市場景況感調査(日管協短観)」(※)から確認する。
賃貸物件を間取りで「1R(ワンルーム)~1DK(1部屋+ダイニング+台所)」「1L(リビング)DK~2DK」「2LDK~」の3タイプ、要は小型・中型・大型に区分。それぞれの物件で個々の管理会社における成約時の家賃が前年度と比べてどのように変化したかを尋ねた結果が次のグラフ。全体では減少よりも増加回答者が多い結果が出ている。
個々の管理会社で賃料が増加、つまり上がった状態で契約した事例が前年度と比べて多数を占めたとの回答は26.9%。減少回答は23.5%を占め、流れとしては家賃の上昇現象が見受けられる。「変化無しが5割近く」と安定感があるとの解釈もできるが、後述するDI値が「1R-1DK」以外はプラス圏にあることも併せ、需給の観点では賃貸住宅の引き合いの強さによる値上げ傾向が生じていることが分かる。見方を変えれば「貸し手優勢市場」。
間取り別では大型が一番増加回答が多く、小型が一番増加回答が少ない。小型は減少が多い。
これを首都圏、関西圏、首都圏・関西圏以外の地域に対象領域を区分し、それぞれの圏限定で値を確認したのが次のグラフ。
首都圏では小型のみ減少の方が多く、中型・小型は増加の方が多く減少はわずかとなっている。他方関西圏でも小型のみ減少が多い一方で、中型・大型は増加の方が多く、減少がわずかな値にとどまっている。首都圏・関西圏以外でも傾向は似たようなもの。
これらの動きを分かりやすくするため、DI値(増加から減少を差し引いた値)を算出したのが次のグラフ。
マイナスなのは小型のみ。中型と大型は全地域区分でプラス。全体としても成約賃料が増加傾向にある実情が分かる。また、首都圏では中型・大型のDI値が大きく、増加事例が多数に上っていることが推測できる。小型の物件は敬遠され、中型・大型の物件に人気が出ているようではある。
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※賃貸住宅市場景況感調査(日管協短観)
2022年7~8月にインターネットを用いて日本賃貸住宅管理協会会員に対して行われたもので、有効回答数は504社(回収率28.9%)。2021年4月から2022年3月に関する状況について回答してもらっている。
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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。
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