岐阜県中津川市。言わずと知れた日本を代表する栗の名産地、特に秋になると栗好きが集うことでも有名な街です。栗きんとん作り体験や栗拾い、モンブラン食べ比べなどが盛り込まれた日帰りツアーなども販売されるほど。

しかし、そこは大地の恵みである栗と月日を共にしてきた中津川。秋以外にも、季節限定や通年商品には栗を用いたお菓子をお作りになっており、それらもとっても魅力的。（秋以外にも時折栗が恋しくなることがあるのです。）

昭和9年創業の「信玄堂」さんにも通年商品であり、長年愛され続けている栗の銘菓があるのです。今回は信玄堂さんの「栗ごろも」をご紹介。

気になったのはその材料。栗・お砂糖・白小豆のみ。希少な白小豆に惹かれただけではなく、この材料でどうしてこの形なのだろう…？と。一般的にこういった茶巾絞りにされたお菓子は栗を包んだ羊羹などにも多くみられるのですが、それにしては材料に寒天が見当たりません…。

理由は開封して納得。そっとそっとその皺をのばしていけば、なんともいえない山の恩恵がもたらす馥郁たる香ばしさ。栗きんとんにも用いられる栗餡をそぼろ状にし、小豆の中でも希少価値の高い白小豆の粒餡を包んだお菓子。シンプルでありながら、なんて贅沢なコンビネーション…！

ほろりとした栗餡は素朴さの中にも力強さを感じられ、一般的に楚々とした風味といわれる白小豆も、なかなか鮮明な白小豆ならではの旨味を醸し出しているのです。互いの持ち味の輪郭がはっきりとしているものの、決して喧嘩をするわけでもなく。

とろりとしたお正月にお馴染みの栗きんとんのようなまろやかさが口の中を満たしていくものの、白手亡豆の餡よりもワンランク上の甘味に思わずため息が…。

豪華な刺繍を施された朱色の色打掛の如きパッケージの華やかさ、そして中に包まれているのは「白」小豆。紅白の組み合わせは、おめでたい席のお菓子にぴったりですね！通年商品であるがゆえに、どのタイミングでもお取り寄せをして、お祝いの気持ちと共にお渡しすることも叶うのではないでしょうか。

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柳谷ナオ