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中山翔貴が吐露する父・中山秀征への思い。そして“二世”という概念との向き合い方

中西正男芸能記者
次々と話題作に出演している俳優の中山翔貴さん

 TBS「下剋上球児」、 映画「沈黙の艦隊」など話題作で存在感を示してきた俳優・中山翔貴さん(25)。格闘家・朝倉未来氏がエグゼクティブプロデューサーを務める映画「BLUE FIGHT」(三池崇史監督、来年1月31日公開)では激しいアクションに挑んでいます。父はタレントの中山秀征さん、母は宝塚歌劇団星組娘役トップの白城あやかさんという家庭で育ちましたが、親と同じ仕事に就いたからこそ湧き上がる思い。そして“二世”として見られることへの向き合い方とは。

「こんな世界があるんだ」

 以前から朝倉未来さんのYouTubeチャンネルは好きで見ていたんです。格闘技も好きだし、その世界観を生かした映画が作られることを知って、事務所のスタッフさんとも話をしてオーディションを受けました。

 三池監督にも自由にやらせていただき、本当に良い経験をさせていただきました。2年半ほど前からキックボクシングのジムにも通っていたんですけど、それの積み重ねも無事に披露することができましたしね(笑)。

 もともと、今の仕事に興味を持つきっかけになったのは母親の舞台だったんです。母親はもともと宝塚歌劇団にいて、僕が高校3年の時に母が宝塚歌劇団のOG公演「エリザベートTAKARAZUKA20周年スペシャル・ガラ・コンサート」に出演したんです。

 エリザベート役だったんですけど、スポットライトを浴びた母を見た時に、言葉じゃなく鳥肌が立ったんです。こんな世界があるんだと。

 母親という近い存在だったからこそ、より一層、舞台というのものの凄みを感じたのかもしれませんね。いつも見ている母というものがあって、そこからかけ離れた姿だったので。普段はただただ怖いお母さんなんですけど(笑)、ステージでは本当にきれいで、完全にエリザベートになっていたんですよね。

 それまでも、親の仕事のこともあって、芸能というものが身近にある家ではあったと思うんです。ただ、野球に打ち込んでいたこともあって、そこに前のめりになることもなく、逆に毛嫌いすることもなく、適度な距離間でエンターテインメントと向き合っていたのかなと思うんですけど、母親の舞台は衝撃的でした。

 ただ、その時は大学でも野球をやることを決めていたので、芸能の仕事に目を向けることなく、そのまま進学したんです。でも、やっぱり印象が強かったんでしょうね。大学を卒業する段階になって、どんな道に進むのかを考えた時に、母の舞台が頭に出てきたんです。

“二世”との向き合い方

 この世界に入ると決めた時、もちろん親にも話はしました。これは昔からなんですけど、こちらが決めたことにアレコレ言われることはなくて。野球をやるとなった時もそうだったんですけど、自分の決断には責任を持ちなさいということは言われてきました。

 ただ、今回父親からは一つだけ言われました。「覚悟を持ってやりなさい」と。

 キラキラした世界に見えるし、確かにそういう部分もあるかもしれないけど、その分人より苦労はする。さらに、自分たちが親である以上、二世として見られる。もう一つ苦労が増す。その覚悟を持っておかないとダメだと。

 実際、デビューするとなった時から厳しい言葉をいただくことも多くて、正直、落ち込むこともありました。ただ、この職業をやっていく上で一番恐ろしいことは「関心を持たれない」こと。それも仕事をしていく中で痛感しました。

 「どうせ、大した芝居しないんだろ」と思って見られていたとしても、まず見られていることがありがたい。そして、そこを覆すという“次”がある。そこに焦点を当てると、むしろポジティブに受け取れることでもありますしね。

 …ま、こんな風に言うと、ものすごく自信があるみたいになってますけど(笑)、まだこれからです。「やっぱり大したことなかったな」とならないように、ただただ頑張るのみです。

親からの言葉

 父も母もアレコレ言う人ではないんですけど、この仕事を始めてから、よく考えたら実は言葉ももらっていたんだなと気づくこともありました。

 父が日ごろから言っていたのは人付き合いの大切さ。どの仕事も、結局人と人。なので、そこを大切にしないとうまくいかない。そして、良いことも悪いことも、どこかで誰かが見ている。なので、横柄になんてするものではないし、頑張っていれば誰かが見てくれている。昔から言われていたことですけど、今の仕事になってより響いていますね。

 母親からは、一度やると決めたら最後までやり通しなさいと言われてきました。その言葉で野球も大学まで続けましたしね。

 一つのことを続ける。「もうダメだ」「辞めたい」と思っても、何とか続けようする。その時に一番自分が成長する。それも辞めなかったおかげで学べたのかなと思っています。

 野球では高校時代からピッチャーをしていたんですけど、大学に入ってレベルの差も感じましたし、ものすごく悩む中で、投球フォームをアンダースローに変えたんです。大学1年の終わりくらいからアンダースローにして、自分の中ではものすごく大きな変化だったんですけど、何とか生き残るために試行錯誤した中で学んだことが本当に大きかったなと。だからこそ、この仕事も何があっても長く続けたいと思っています。

 あと、この仕事を始めて、痛感したのが親のすごさです。父はこの世界で40年ほどテレビに出続けている。お仕事をもらい続けている。もちろん、これまでも「すごいことだな」と思ってはいたんですけど、それを心底思うというか。つくづく、本当にすごいことをやってきたんだなという思いしかないです。

 …え、こんな話を親にしたことがあるかですか?それは言ったことがないですね。なんなんでしょう、恥ずかしくて言えてないですね。でも、こうやって取材をしていただく中で答えているわけですから、これが記事になりますもんね。この場をお借りして、間接的に伝えることになりました(笑)。

(撮影・中西正男)

■中山翔貴(なかやま・しょうき)

1999年3月18日生まれ。東京都出身。16年間野球を続け、青山学院大学在学中には同大学硬式野球部の7年ぶりの東都一部リーグ昇格に貢献。2021年、大学卒業とともにワタナベエンターテインメントに所属。22年、テレビ東京系のドラマ「しろめし修行僧」で俳優デビュー。TBS「下剋上球児」、 映画「沈黙の艦隊」などに出演。高い身体能力を生かし、TBS「最強スポーツ男子頂上決戦2024」にも出場した。格闘家・朝倉未来氏がエグゼクティブプロデューサーを務める映画「BLUE FIGHT」(三池崇史監督、来年1月31日公開)にも出演する。父はタレント・中山秀征、母は元宝塚歌劇団星組娘役トップの白城あやか。身長180センチ。

芸能記者

立命館大学卒業後、デイリースポーツに入社。芸能担当となり、お笑い、宝塚歌劇団などを取材。上方漫才大賞など数々の賞レースで審査員も担当。12年に同社を退社し、KOZOクリエイターズに所属する。読売テレビ・中京テレビ「上沼・高田のクギズケ!」、中京テレビ「キャッチ!」、MBSラジオ「松井愛のすこ~し愛して♡」、ABCラジオ「ウラのウラまで浦川です」などに出演中。「Yahoo!オーサーアワード2019」で特別賞を受賞。また「チャートビート」が発表した「2019年で注目を集めた記事100」で世界8位となる。著書に「なぜ、この芸人は売れ続けるのか?」。

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1999年にデイリースポーツ入社以来、芸能取材一筋。2019年にはYahoo!などの連載で約120組にインタビューし“直接話を聞くこと”にこだわってきた筆者が「この目で見た」「この耳で聞いた」話だけを綴るコラムです。最新ニュースの裏側から、どこを探しても絶対に読むことができない芸人さん直送の“楽屋ニュース”まで。友達に耳打ちするように「ここだけの話やで…」とお伝えします。粉骨砕身、300円以上の値打ちをお届けします。

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