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発想の転換 カップ麺(カップヌードル、カップうどん)は 水が無くても室温で有効利用できる提案

奥田和子甲南女子大名誉教授、日本災害救援ボランティアネットワーク理事
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常温の飲み物を入れたカップヌードルとカップうどん
常温の飲み物を入れたカップヌードルとカップうどん

災害時の初期段階では電気、ガス、水道が停止し、慣れ親しんだカップ麺が利用しにくい。げんに熊本地震においても、カップ麺は水がないために利用できなかったという苦情がでた。はたして、熱湯や水がなければ利用できないのかと疑問がわく。

筆者は、各種飲み物、身近な加工食品を用いて室温でアルファ化米を戻すと、熱湯がなくてもおいしいご飯にすることができる提案をすでにした。(*2015年)

カップ麺も同様に身近な飲み物を室温で注ぎ入れて戻す実験をした結果、おいしい麺に戻すことができたのでお知らせする。

カップヌードル

方法 

カップヌードル(日清食品株式会社)77gに各種飲み物300ml(カップに表示された線まで)加え30分間室温(26℃)で放置した。通常の方法―熱湯を加え3分間放置したものを比較のために用意した。

各種飲み物は、通常身近に飲まれている茶飲料(4種)、炭酸飲料(4種)乳酸飲料(1種)野菜ジュース(1種)清涼飲料水、比較対照として水、計12種類を28.4℃でカップ麺に加え戻した。(実験日2016.8.9.)

各種飲み物で戻したカップヌードルの色、味、食感、香りを水、熱湯で戻したものと比較すると、茶類(茶、烏龍茶、麦茶)、甘過ぎない飲み物、弱い炭酸入り飲み物(ウイルキンソン、アクエリアス)野菜ジュースは熱湯、水に劣らず、むしろおいしい食感(冷麺の食感)になり、おおいに有効利用できることを認めた。なお、麺を戻す時間は室温で異なるので戻し時間の調整が必要である。

カップうどん-どん兵衛 天ぷら

カップ入り即席うどん(どん兵衛 天ぷら―日清食品株式会社)99gに各種飲み物410mlを加え35分間室温(25℃)で放置したものと、熱湯を加え5分間室温放置したものを比較した。

清涼飲料水(2種)、茶飲料(4種)、炭酸飲料(2種)コーヒー(1種)果汁入り飲料(1種)野菜ジュース(1種)比較対照として水、計12種類である。(実験日2016.8.14.)

「どん兵衛」に室温で、茶類(茶、烏龍茶、麦茶、午後の紅茶・無糖)、甘過ぎない、香りの強くない飲み物、弱い炭酸入り飲み物(ウイルキンソン)、野菜ジュースを注ぎ入れて戻せば、水に劣らず、むしろおいしい食感になり、水、熱湯なしでもおおいに有効利用でき減災につなげることができる。

*奥田和子 発想の転換でアルファ化米は水がなくても有効利用できる提案

日本災害食学会誌 VOL.3 NO.1(MARCH2016) p.49~58

(甲南女子大学名誉教授 奥田 和子)

甲南女子大名誉教授、日本災害救援ボランティアネットワーク理事

専門は食生活デザイン、食文化、災害・危機管理と食、宗教と食。広島大学教育学部卒業。大阪市立大学学術博士取得。米国カリフォルニア大学バークレー校栄養学科客員研究員、英国ジョーンモアーズ大学食物栄養学科客員研究員、甲南女子大学人間科学部人間環境学科教授を経て、現職に至る。「震災下の食―神戸からの提言」(NHK出版)、「働く人たちの災害食―神戸からの伝言」(編集工房ノア)、「和食ルネッサンス『ご飯』で健康になろう」(同時代社)、「箸の作法」(同時代社)、詩集など著書多数。

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