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【ラグビーW杯】ジャージに注目 スコットランドと長崎、タータンチェックがつなぐ縁

石戸諭記者 / ノンフィクションライター
キルト姿の観戦客(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

キルトと長崎

ラグビーワールドカップの会場で、ひときわ目立つのがスコットランドの伝統衣装、キルトを着た観客だ。伝統柄「タータンチェック」のスカートと、襟裏にまでタータンがデザインされたラグビーのジャージと合わせる姿がなんとも粋である。今回、スコットランドのジャージには長崎ゆかりの長崎タータンが使われている。

日本代表が予選プール突破を賭けて挑む、スコットランド戦。少しばかり角度を変えて、ジャージに注目してみよう。スコットランドのジャージは長崎ゆかりのタータンが使われている。

長崎市によると、幕末から明治に変わる激動に時代、長崎を拠点に活躍した貿易商、トーマス・グラバーがスコットランドと長崎の縁の始まりで、グラバーが生まれたアバンティーン市と友好都市になっている。

スコットランド伝統のタータンはよく言われるように、日本では家紋に相当するもの。キルトは正装で、 タータン柄は厳しくチェックされ、公的に管理する登記場がある。長崎タータンはスコットランドから贈られたもので、長崎県ラグビー協会のカラーである深いグリーンに、長崎市の花である紫陽花をイメージした紫が使われた落ち着いた柄のチェックだ。

スコットランド代表伝統のネイビーとの相性はとてもよく、襟を立てて歩いているスコットランドファンの姿を会場ではよく見かける。日本とスコットランドが予選プール突破を争う展開に長崎県の関係者は複雑な思いを抱いているはずだ。

オールブラックスとヨウジ・ヤマモト

さて、ジャージといえば今大会で、ニュージーランド代表「オールブラックス」のジャージをデザインしたのは、日本を代表するデザイナー、山本耀司だ。1980年代のパリコレクション、川久保玲のコム・デ・ギャルソンとともに黒をメインカラーに据えたコレクションは「黒の衝撃」と呼ばれ、時代を変えた。今でも「黒」の可能性に賭けたコレクションを展開するヨウジ・ヤマモトがオールブラックスをデザインするというのも、興味深い。

もし、日本代表が2位通過となれば対戦相手はそのニュージーランドだ。1位通過なら前回大会で大金星をあげた南アフリカとの再戦になる。どちらになっても文句なし。予選敗退の可能性は……。この記事では触れないでおこう。

記者 / ノンフィクションライター

1984年、東京都生まれ。2006年に立命館大学法学部を卒業し、同年に毎日新聞社に入社。岡山支局、大阪社会部。デジタル報道センターを経て、2016年1月にBuzzFeed Japanに移籍。2018年4月に独立し、フリーランスの記者、ノンフィクションライターとして活躍している。2011年3月11日からの歴史を生きる「個人」を記した著書『リスクと生きる、死者と生きる』(亜紀書房)を出版する。デビュー作でありながら読売新聞「2017年の3冊」に選出されるなど各メディアで高い評価を得る。

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