これだけの強力打線で初回から犠打、小久保監督の悲壮感が気になった侍ジャパン強化試合初戦
侍ジャパンの強化試合を見に東京ドームに行った。率直なところ、小久保監督の「固さ」が気になったゲームだった。
仕事を終えてドームに駆け付けると7時20分過ぎだったが、まだ1回表が終わったばかりだった。個人的には、公式戦もこの開始時間でやって欲しいと思う。観客は6分入り。翌日公式発表をチェックすると、25,414人だった。エキビジションにしては良く入っていると思う。やはり、それはほぼ全日本と言ってよい侍ジャパンのメンバー構成ゆえだろう。同じWBC前年秋の強化試合でも、2012年に福岡で開催された際は、ここまでのメンバーではなかった。
シーズンの疲れを取りたいこの時期のゲームに、これだけのメンバーを集めた調整力とその背景にある侍ジャパンのブランディング戦略は大したものだと思う。定期的な秋の日米野球が途切れる最後の開催となった2006年などは、相手がメジャーリーガーであっても、多くの選手が「せめてこの時期は休ませて下さい」と出場を回避し、骨抜きのメンバーだったことと比べると隔世の感がある。
試合結果はご存知の通り。敗戦は残念だったけれど、多くの選手は実戦から遠ざかっていた訳で致し方ないと思う(一方、多くのメキシコの選手はシーズン中のはずだ)。しかし、そのなかで残念だったことがある。それは小久保監督の「固さ」だ。それは「悲壮感」と言い換えても良い。
初回に先頭の坂本が四球で出塁すると、2番の秋山にいきなり送りバントをさせたのには「ドン引き」した。セイバーメトリクスが普及した現在では、「送りバントは終盤の1点を争う場面に限定すべき」ということは国際的にもほぼ常識だ。送りバントはその回に得点が入る可能性は高めてくれるが、アウトカウントが増えることにより期待される得点値を減少させてしまうからだ。野球は最終回が終わった時点での得点を競う競技だ。しかも、これだけのスラッガーたちが打線に名を連ねている。しかも、これはWBC決勝戦ではない。のびのびと打たせてあげて欲しかった。
4回に2対1でビハインドでの守備の場面でも、1死二三塁で内野陣にバックホーム体制の守備位置を取らせていた。まだ回も浅く、「1点も与えてはならない」、そういう場面でもないだろうと思った。
これだけのメンバーが揃っているのだ。小久保監督はもっとのびのびやって欲しいと思う。極論すれば、選手たちの実力に任せておけばよいのだ。昨年秋のプレミア12での悲劇的な逆転負けとファンの高い期待で、ちょっと自分自身を追い込みすぎではないか?と思った。まだ先は長い。肩の力を抜こう。野球はボールゲームなのだし。